――自立した供給体制を確立していくことは、そう簡単なことではないと思えますが、どのような道筋を想定しているのでしょうか。

 これまでの国内のロボティクス産業は、高い技術基盤があるにもかかわらず、その供給潜在力に見合った需要をつくり出せなかったという反省があります。そこで今回の戦略では、供給側の視点だけでなく、供給と需要の双方の取り組みを国が一体的に支援し、供給と需要を相互に連携させながら同時に拡大させていくことにポイントを置いています。

 まず、先行して社会実装に着手する需要側の事業者が、大量の現場データやノウハウをAIに学習させます。これを受けて、供給側のベンダーは大量のデータをもとに改善を重ねるとともに、他分野への展開などを進めていきます。こうしたサイクルを何度も繰り返すことで、生産量の拡大を実現するとともに、供給側からみるとロングテール市場にあたる分野や業務にもAIロボティクスの実装を広げていきます。

 需要側の企業には、しっかりと将来見通しを立てて、AIロボティクスの導入シナリオを共有いただきたいと思います。例えば10年後に本当に人手不足に困って「明日からAIロボットを買って自動化を実現したい」と思い立っても、いきなり使えるソリューションは手に入りません。

 AIロボティクスは、複雑な人の作業を代行する高度な技術であり、今のうちから10年後の活用を見据えてAIロボティクスを導入し、現場情報をAIに計画的に学習させていく必要があるわけです。

 他方、供給側のベンダーには、標準化、規格化、オープン化等による採算性の確保や、本当に困っているロングテール分野への供給に力を入れていってほしいと思います。同時に、ロボットと人間の役割分担を設計する、AI制御のロボット・機器を適切にメンテナンスするなどの未来スキルをもつエンジニアの養成を進めることが極めて重要だと考えています。

「早くロボットを普及させてほしい」労組から切実な声…人手不足がここまで深刻になった現場とは?AGVで労働力不足に対応 画像:カーゴニュース