エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】#7Photo:PIXTA

外食各社が原材料費や人件費の高騰を受けて、相次いで値上げに踏み切る中、サイゼリヤは価格据え置きを貫き、4期連続の最高益を目指している。だが財務データを読み解くと、好調な決算の裏で2つの凶兆が迫っていることが見えてきた。コストアップを独自の省人化戦略でカバーし、値上げを回避するビジネスモデルは、いつまで持ちこたえられるのか。特集『エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】』の本稿では、サイゼリヤの戦略効果を競合他社と徹底比較する。(ダイヤモンド編集部 大日結貴)

好業績を維持するサイゼリヤ
下方修正でついに失速か?

 サイゼリヤの業績が絶好調だ。2025年8月期は4期連続増収となり、3年連続で過去最高の売り上げと利益をたたき出した。26年8月期上半期も増収増益を達成し、4期連続の最高益更新へ突き進んでいる。

 快進撃の要因は、盤石な顧客からの支持だ。外食産業全体が原材料費や人件費の高騰を理由に値上げに踏み切り、それによって客離れに直面する中、サイゼリヤは値上げを回避。安さを武器に、客数を増やす戦略を貫徹している。

 その成果は既存店データに如実に表れている。既存店客数は21年11月以降、常に前年同月を超え、23年1月以降は驚異の前年同月比10%増を達成。同期間、既存店客単価も一度も前年同月を下回っておらず、客数と単価の双方が増加する理想的な状況を維持し、既存店売上高は安定的に前年同月比プラスをクリアしてきた。

 サイゼリヤが価格改定を回避する背景には、まずは「上層部の理念の強さ」がある。同社には「日本で値上げを許容できるお客さまは、一部の大手企業に勤める社員だけ。値上げをしないことが正義で、それが社会貢献である」という信念がある。多くの社員がそれに賛同し、誇りに思っているという。さらには、「日本ファースト」ともいえる同社の独自の戦略があるだろう。

 ところが、である。その戦略にも、徐々に暗雲が垂れ込め始めている。

 26年8月期上半期の決算発表時、サイゼリヤは通期売上高予想を上方修正したものの、営業利益予想は下方修正した。通期での増益見通し自体は変わらず最高益更新が続きそうだが、確実にこれまでの勢いに陰りが見え始めているのだ。

 あらゆる生活コストが上昇するインフレが続いている今、低価格ファミレスとして子育て世代などを中心に支持を集めてきたサイゼリヤ。果たして今後も「値上げしない戦略」を堅持できるのか。次ページでは、決算数字の裏に徐々に見え始めた「二つの凶兆」と、「日本ファースト」戦略が揺らぎつつある現状を解剖する。