Photo by Yuiki Okusa
2026年2月期に売上高が過去最高を記録するなど、絶好調に見える吉野家ホールディングス(HD)。しかし成瀨哲也社長は、「胸を張って好調とは言えない」と厳しい評価を下す。 成瀨氏は単純な売上高以上にこだわる “ある数字”に納得がいかないようだ。連載『外食バトルロイヤル』の本稿では、吉野家HDが重視する指標と、その改善策について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)
社長就任から1年
過去最高の売り上げでも厳しい評価
――社長に就任して1年がたちました。内部の変革をどのように進めてきたのでしょうか。
29年度までの4カ年の中期経営計画(中計)では「『変身』と『成長』」を掲げていましたが、実態は「整理整頓」の1年でした。最大のトピックは、今年3月に実施した吉野家の組織統合です。それまで分社化されていた六つの会社を、一つの「株式会社吉野家」に統合しました。
――なぜ統合したのでしょうか。
分権化のメリットがある一方で、各社長の裁量も大きくなります。本部としての「一つの吉野家」から発信した方針が正しく伝わらず、各社がお客さまのためを思ってオリジナリティーを追求した結果、店舗づくりにバラつきが生じていました。例えば、タブレット端末の導入の有無やポスターの掲示場所など、細部での連携が取れず、非効率になっていたのです。そのため、機能を統合し、意思決定のスピードを上げ、「決められたことを正しく実行する組織」へと変革することが最大の狙いでした。
――前期(2026年2月期)は売り上げ、営業利益共に前年比約10%増で増収増益、特に売上高は過去最高を記録しています。この業績についてどう評価していますか。
正直なところ、胸を張って好調とは言えません。
外食業界は人件費や食材費の高騰に加え、今後はイラン情勢の緊迫化による水道光熱費の上昇が待ち受ける。そんな中で、26年2月期は売上高が過去最高となった吉野家HDは、外食業界の勝ち組だといえるだろう。ところが、成瀨社長は全く納得していない。その理由は何なのか。次ページではその理由を詳しく聞くとともに、中計達成に向けて注視する重要指標と、吉野家HDの収益性改善のための次なる一手について、話を聞いた。







