N-BOXから同車種への買い替えを意味する「N2N」
30代の顧客獲得のために価格納得感を向上
次に、N-BOXに関するマーケティングデータを見てみよう。
保有台数は、25年時点で初代108万台、2代目132万台、そして3代目が44万台だ。
その上で、N-BOXからN-BOXへの買い替えであるホンダの社内用語「N2N」については、全体的に伸びているものの、2代目の量産後期である22年ごろから他社モデルへの乗り換えが急速に増えているのが実情だ。これに伴い、N-BOX以外のホンダへの乗り換えも減っている。
軽市場動向を示す図表をプレゼンテーションで提示 Photo by Kenji Momota
次に、軽スーパーハイトワゴン市場動向を見ると、女性ユーザー率は25年実績でN-BOXで53%である。
一方で、年齢層別では若年層(39歳以下)が20年代に入って各社とも低下傾向が鮮明。2025年実績でN-BOXが22%で、またホンダ全車種平均でも23%と低い。
こうした市場動向を鑑み、ホンダはN-BOXで新たに若年層ユーザーへの販売を強化することとした。
例えば、標準モデルでは20~30代の女性に、シンプルでクリーンなデザインと最適な安全・快適装備をアピールする。
カスタムでは20~30代の男女に対して、存在感のあるデザインと充実の快適装備を。そしてJOYでは、20~30代に、個性的なデザインとアクティブに使える装備を売り込む。
こうした商品性だけではなく、買いやすさを考慮した施策を打つ。
これまで、ディーラーオプション設定だったナビをホンダ生産工場で装着する標準装備とし車両本体価格に組み込んだことで、残価設定ローンを組む際の月当たり支払額を低減させた。
今回、N-BOXの改良について、商品面とマーケティングの観点から実車を交えてホンダ関係者と意見交換する中で、N-BOXは「人の生活そのもの」であり、また「社会インフラ」であることを再認識した。
日本固有の車両規格の中で、独自の進化を遂げてきた軽自動車。そのトップの座をN-BOXが維持するには、ホンダは販売店やユーザーの声を最優先し、社会の変化に応じてフレキシブルな商品・営業戦略を描き続ける必要がある。
視野を広げれば、ホンダは26年度決算で、米国EV(電気自動車)事情の大幅な見直しなどの影響で、上場以来初の赤字決算となり、次世代に向けて商品、事業、組織体系など抜本的な変革に取り組んでいる真っ最中だ。
その中で、主力市場の北米と比べれば売り上げベースでの規模が小さいN-BOXであるが、ホンダにとってN-BOXでの成功体験と、成功体験にとらわれず市場変化に対してユーザーファーストの精神で変わり続けるという姿勢が、ホンダ全体に大きな影響を及ぼすことを期待したい。







