サイゼリヤのB/Sに現れる
低価格を支えるビジネスモデル

 では、決算書を図解した「比例縮尺図」から、決算書の全体像を掴んでおこう(決算書の読み解き方については、「『Switch2』は爆売れなのに、任天堂の利益率が急降下したワケ」を参照)。なお、損益計算書(P/L)については営業利益までを図示している。

図表:サイゼリヤのB/SとP/L(2025年8月期)サイゼリヤのB/SとP/L(2025年8月期)、筆者作成 拡大画像表示

 貸借対照表(B/S)の左側(資産サイド)で一番大きな金額を占めているのは、流動資産(約964億6500万円)だ。サイゼリヤは飲食業であるから、食材などの棚卸資産(在庫)がここに計上されていると推測される。

 次いで大きいのは、有形固定資産(約684億6200万円)だ。有形固定資産には店舗の建物などが計上されていることが想定される。

 B/Sの右側(負債・純資産サイド)には、流動負債(約353億1900万円)、固定負債(約269億6900万円)が計上されている。流動負債には、原材料の仕入れに伴って計上される買掛金といった仕入債務が計上されていると想定できる。純資産は約1171億5700万円で、安全性を示す指標の1つである自己資本比率(=純資産÷総資本〔総資産〕)は約65%と十分な水準にある。

 ここで、実際の決算書からサイゼリヤのB/Sの中身について確認しておこう。

図表:サイゼリヤの要約連結財務諸表(2025年8月期)サイゼリヤの要約連結財務諸表(2025年8月期)、筆者作成 拡大画像表示

 流動資産の中には、棚卸資産(=商品及び製品+原材料及び貯蔵品)が約168億8700万円計上されている。これは、比例縮尺図から想定した通りだ。一方で、最大の金額を占めているのは、現預金(約671億5200万円)となっている。これは、月商(=売上高÷12カ月)の約3.1カ月分に当たり、飲食業としては十分な手元資金を確保しているといえる。

 有形固定資産には建物・構築物が約290億3900万円計上されている。有価証券報告書の「第3 設備の状況」を確認すると、ここには、店舗の建物に加えて、食材を加工する工場が含まれている。