物価高騰&円安で原価率36→42%
仕入れ価格が上昇しても値上げせず済む理由
サイゼリヤを取り巻く経営環境とサイゼリヤの収益構造の変化を見るために、2019年8月期と2025年8月期のP/Lを比較してみよう。
サイゼリヤ連結P/Lの比較(2019年8月期 vs 2025年8月期)、筆者作成 拡大画像表示
19年8月期における原価率は約36%と、25年8月期の水準に比べて約6ポイント低い。飲食業の原価率の目安とされる30%前後に比べるとやや高いものの、サイゼリヤが低価格業態であるにも関わらず原価率を比較的低い水準に抑えられてきたのは、垂直統合型ビジネスモデルにより食材を低価格で店舗に供給できていたことが大きな要因の1つだ。
しかし、近年の原材料価格の高騰や円安によって食材価格は上昇しており、値上げをしていないことと相まって原価率は約42%にまで上がっている。垂直統合型のビジネスモデルをもってしても、仕入れ価格の上昇は原価率に大きな影響を及ぼしている。
一方で、販管費率は19年8月期の約58%から25年8月期の約52%へと約6ポイント低下した。そのため、25年8月期における売上高営業利益率は約6%と、19年8月期とほぼ同じ水準を維持できているのだ。
人件費なども上昇する中、なぜサイゼリヤでは販管費率を引き下げることができたのか。その主な要因は、「値上げをしない価格戦略」にある。値上げしない姿勢が消費者から評価され、客数も客単価も大幅に増加した。そのため、1店舗当たり売上高が伸びて生産性が向上し、販管費率が低下したのだ。
客数31%、客単価25%増加!
原価率上昇を打ち消す「販管費率低下」の正体
サイゼリヤの客数は19年8月期の約2億2800万人から25年8月期の約3億人へと約31%増加している。店舗数は同時期に1506店から1700店へと約13%増えているが、客数の伸びはそれよりも大きい。また、客単価は686円から857円へと約25%増加している。値上げをしていないことを踏まえれば、来店1回当たりの注文品数が増えていると想定される。QRコードを使ったセルフオーダーシステムやセルフレジ導入も、客席の回転率向上や注文品数の増加を通じて、客数や客単価の引き上げに寄与している。
その結果として、販管費率の分母となる売上高が19年8月期の約1565億2700万円から25年8月期の約2567億1400万円へと大幅に増加(約64%増)したため、販管費率が低下したのだ。







