橋本側は最初から身体接触をNGとしていたわけではないし、顎に触れたことを橋本がセクハラと訴えたわけでもない。佐藤の他の共演者らに対する距離の近さなど総合的な判断として、これ以上のことが起こらないように配慮を求めたというのが実情のようだ。
また、橋本側の事情が事前に情報共有されなかった理由が佐藤に対する配慮だった点について、佐藤本人は週刊新潮のインタビュー時点でも把握していないように見える。
仲介が入ることで当事者間に誤解と軋轢が生じてしまった結果だけを見れば、番組プロデューサーや佐藤のマネージャー、あるいは最初の時点で強く情報共有を求めなかった橋本側の事務所、それぞれの対応に検討の余地はあるのだろう。
ただ、これがもし自分が関わっている現場だと考えた場合、どのように動くのかは大変難しい問題ではないだろうか。誰かに悪意があったわけではなく、むしろ関係者がそれぞれの当事者に「配慮」した結果のように感じられるからだ。
特に、佐藤に対して、周囲が「気に障ることを言って調子を悪くさせてはいけない」と配慮した結果、一番悪いタイミングでの伝言ゲームが行われてしまったように見える。
フジテレビの声明によれば、顎に触れられたことを橋本自身が問題視したわけではないようなのだが、佐藤の説明からは、これをきっかけに橋本から強く拒絶されたと受け取って強い戸惑いを覚えたことがうかがえる。
ハラスメントの土壌となる「優位性」とは?
「役者は続けるべきではない」という佐藤の言葉については、新潮のインタビューの中でさえ、「佐藤に悪気がなかったとしても、被害を主張された場合、少なくとも倫理的には抗弁が難しいと思われる」と書かれている。
しかしその後で、佐藤側の代理人弁護士の見解が添えられ、ここでは「二人は過去に共演歴がなく、佐藤さんが女優さんに対して優位性を持っているとは考えられない」「従って佐藤さんの発言は、ハラスメントではありません」となっている。
この点については、優位性というものが何なのかを考える必要がある。
厚生労働省の指針では、職場におけるパワーハラスメントを「(1)優越的な関係を背景とした言動」「(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」「(3)労働者の就業環境が害される」の3つを全て満たすものと定義している。
「優越的な関係を背景としていないのだから、ハラスメントではない」と佐藤側の代理人は言いたいのだろう。







