競争環境も大きく変化している。これまで日本企業が高いシェアを維持してきた分野でも、中国メーカーの技術力向上や国産化政策の後押しによって競争は一段と激しくなっている。そのため、各社は価格競争だけでなく、高付加価値製品や独自技術、新たな市場への挑戦によって競争力を高めようとしている。
その中で注目されているのが、新しい市場への挑戦やM&Aの活用だ。既存市場だけで競争するのではなく、自社の強みを生かせる新たな領域を開拓したり、有望な技術や企業を取り込んだりする動きが活発になっている。
TDKやヒロセ電機などでは、事業ポートフォリオの見直しや生産体制の改革を進めながら、新たな成長分野への投資を積極的に進めている。
採用で重視される
3つのキーワード
こうした業界の変化を受けて、採用で重視される人物像にも変化が見られる。企業が求めているのは、専門知識だけを持つ人材ではない。新しいことに興味を持ち、自ら学びながら挑戦できる姿勢や、変化を前向きに受け止められる柔軟性が、これまで以上に重視されている。
特にキーワードとなるのは、「チャレンジ精神」「好奇心」「スピード感」の3つだ。
AIによって技術や市場が次々と変わる中では、従来のやり方にとらわれず、新しい技術や顧客、新市場に積極的に目を向けられる人材が期待されている。営業職でも技術職でも、市場の変化を敏感に捉え、新しい提案につなげられる力が重要になっている。
また、電子部品業界は世界市場を舞台に事業を展開する企業が多く、国内だけでなくグローバルな視点を持つことも大切だ。世界で起きている技術革新や市場の変化に関心を持ち、自ら学び続ける姿勢は、今後ますます重要になるだろう。
AI時代の到来によって、電子部品業界は新たな成長局面を迎えている。変化のスピードは速いものの、その分、新しいことに挑戦できるチャンスも広がっている。変化を前向きに楽しみ、自ら成長していきたい人にとって、電子部品業界は大きな可能性を秘めたフィールドといえそうだ。
(大和証券 チーフアナリスト 佐渡拓実氏への取材を基に編集チームが構成)









