医薬品業界はどんな人材を求めているのか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
就職活動で大切な業界研究は難しいことではない。自分の将来を考える「地図づくり」のようなものだ。業界環境を知り、社会の仕組みを理解することが、納得のいく就職への第一歩になる。第13回は医薬品業界を取り上げる。(Diamond WEEKLY編集室)
新薬開発の難易度が
年々高まっている
製薬業界は今、大きな転換期を迎えている。
トランプ政権下で米国では医薬品の価格や海外生産を巡る安全保障への関心が高まり、日本でも医療保険制度における薬剤費の見直しが議論されるなど、事業環境を取り巻く政策面の変化が注目されている。ただし、現時点では制度そのものが大きく変わったわけではなく、業界全体としては「問題意識が高まっている段階」と見る向きが強い。
一方で、企業経営により大きな影響を与えているのは、政策よりも製薬産業が抱える構造的な課題である。
最大の課題は、新薬開発の難易度が年々高まっていることだ。
これまで多くの疾患では既存薬によって一定の治療成績が得られるようになり、新薬には従来以上の有効性や安全性を示すことが求められている。そのため臨床試験は大規模化・長期化し、開発コストは増加する一方だ。
さらに、開発費を回収するために高価格で販売しようとしても、特許切れによって価格が下がった既存薬との費用対効果が厳しく比較されるため、新薬にはさらに高い価値を証明することが求められる。この構造が開発コストを一層押し上げる悪循環を生んでいる。
研究開発には、15~20年という長い時間が必要になることも珍しくない。そのため、ドラッグラグ(新薬が使えるようになるまでの時間差)の解消や創薬エコシステム(研究機関やベンチャー企業などによる革新的な新薬開発)の整備など政府の施策も進められているが、短期間で業績に結び付くものではなく、現在は従来の取り組みを着実に積み重ねている段階といえる。
企業ごとの競争力にも差が出始めている。
たとえば、アステラス製薬は主力製品「イクスタンジ」の特許切れが近づく一方、新たな大型新薬候補が限られていることから、市場では将来の成長性を懸念する声が増えている。一方、第一三共は抗体薬物複合体(ADC)の開発パイプラインが充実しており、今後も新薬のローンチが続くことで中長期的な成長が期待されている。
製薬会社の企業価値は、新薬を自社で生み出す力、あるいは外部から有望なパイプラインを獲得する力によって左右される時代になっている。







