リスクを負う「アパート建設」以外にも
相続税対策は可能
アパート建設はこれまで相続税対策に有効とされてきましたが、資材の高騰や地域によっては人口減少による入居者の減少も見据える必要があります。そこで、アパート建設による相続税節税術のリスクについて、「いちよう相続・税務サポート」の田澤広貴税理士に聞きました。
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――アパート建設による相続税対策の注意点を教えてください。
田澤税理士:これまで確かにアパート建設は相続税対策に有効とされてきました。しかし、建築コストも上昇傾向にあり、長期的な経営リスクについても慎重に検討すべきでしょう。
アパートを建てて借金を背負う「貸家建付地」としての節税は、あくまで「安定経営が続くこと」が前提です。アパートの家賃収入が当初の想定を下回れば、手元の現預金を取り崩してローンの返済に充てなければならず、生活を圧迫することになります。
また、「貸家建付地」による評価減は、賃貸用不動産として利用されていることが前提です。空室が発生しても直ちに適用できなくなるわけではありませんが、長期間賃貸の実態がない場合には注意が必要です。
一度アパートを建てて入居者が入ると、その土地は借地借家法によって守られます。将来、納税資金のために「土地を切り売りしたい」と思っても、立ち退き料の発生や入居者との交渉が必要になり、簡単には現金化できません。
田中さんのように70代を過ぎてからのアパート経営は、オーナーご本人だけでなく、将来それを引き継ぐ家族にも大きな精神的・実務的負担を強いることになります。
老朽化に伴う修繕、空室対策、住人トラブルの対応なども念頭に、相続税対策として適しているか家族そろって検討することが望ましいでしょう。
今回の田中さんのように「あえて建てない」場合でも、土地の形状や大きさ、利用方法によっては、相続税評価額を一定程度抑えられる場合があります。
また、近年は行き過ぎた相続税対策への見直しも進んでいます。不動産を活用した節税策を取り巻く環境は変化しており、相続税評価額だけに着目するのではなく、収益性や管理負担、ご家族が将来も保有したい資産かどうかという視点も含めて検討することが重要でしょう。







