常にこの大前提を見失わずに話を進めていかなければ、どうしても同床異夢の話に終始してしまうでしょう。
もう少し突き詰めれば、この議論は陸海空自衛隊のそれぞれの役割や運用がどうなっているのか、どうすべきかが前提なので、自衛隊を知ることから始めるべきなのです。
靴下と戦闘機はどちらが大事なのか
侵攻事態では本土から離れた海、そして空を守ることがまず最初の課題となります。しかしその防備が破られたなら、地上での防衛に移行せざるを得ません。陸海空の防衛はその時間軸が異なります。そして最も長い時間戦闘に耐えなくてはならないのは、やはり陸上戦力です。つまり、最も「継戦能力」、持久力が求められるのは、陸上自衛隊ということになるのです。
武器や装備を国産化する意義は継戦能力のためであると考えれば、陸海空自衛隊の中でも特に国産にこだわるべきは、やはり陸上自衛隊だと言えるでしょう。しかし問題なのは、陸自の装備全般における国産の必要性が海空自衛隊と比べて理解され難いということです。
小銃と戦闘機と潜水艦のどれが一番重要か?と問えば、多くの人が戦闘機や潜水艦と答えるでしょう。では小銃と靴下ではどうでしょうか? やはり小銃の方をあげる方が大半かと思います。
しかし、数十キロを行軍する歩兵にとって、靴下はとても大事です。破ければ戦力が著しく低下します。靴や下着も同じです。自衛隊の装備についても、「選択と集中」などと言って必要なものとそうでないものを選別すべきだといった議論が出てきますが、実態を知らない人がこれを行うのは乱暴です。戦闘の現場に出れば何週間も着たきり雀となる彼らの感覚を私たちが分かるはずがないのですから。
一方で、海空自衛隊が国産化を目指さなくてもいいのかと言えば、そんなことは全くありません。米軍との共同運用性を重視する装備については米国製を導入しているとはいえ、実際には潜水艦も護衛艦も国産であり、戦闘機も国産か日本主導の共同開発を目指そうと奮闘しています。







