秋篠宮家から離脱した小室眞子さんの結婚を巡る騒動などで、皇室の権威がかつてなく揺らいでいる。日本国と国民統合の象徴たる天皇、そして皇室はいかにあるべきか。特集『総予測2023』の本稿では、英国など欧州の王室に詳しい君塚直隆教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
眞子さん・小室圭さんの衝撃的な会見
国民の支持、皇室への敬意にかつてない揺らぎ
――世界には約200の国がありますが君主制国家は30カ国未満で、さらに減り続けています。現代の日本にとって、天皇陛下や皇室の存在意義はどこにあるのでしょうか。
自然災害が多発した平成の30年間、明仁上皇と美智子上皇后が被災地で、被災者一人一人と向き合い激励されてきた意義はとても大きかったと思います。
2004年の新潟県中越地震の際の話ですが、20分程度の訪問時間を打診した県に対し、お二人は2時間以上、時間を取ってほしいと求めました。テレビで被災者とのやり取りが報じられるのはほんの一部なので、県側は20分あれば十分だと判断したのでしょう。ですが、お二人は現地で二手に分かれ、しゃがんで一人ずつ声を掛けていく。丁寧な対話には、それなりの時間が必要だったのです。
――確かにお二人のお見舞いは胸に来るものがありました。
世界的に見ても、王室の維持・存続には国民の支持を得ることが不可欠です。お二人の心を込めた被災地訪問の積み重ねは、太平洋戦争の慰霊と並び重要なものでした。天皇が日本国と国民統合の象徴であるという意識、国民の支持にもつながったと思います。
これは徳仁天皇、雅子皇后に受け継がれていくでしょう。留学経験もある令和のお二人は、平成以上に国際的な活躍が期待できます。
――令和の時代になり、記者の質問を一切受けず、自分の主張を一方的にお話した眞子さんと小室圭さんの会見は衝撃的でした。上皇・上皇后が築いた、国民の支持や皇室への敬意が揺らいでいます。
次ページでは、諸外国の君主制に詳しい君塚教授が、英国や北欧の王室の具体例をひも解いて、日本の皇室が現在直面している課題を浮き彫りにする。その上で、小室眞子さんの結婚を巡る騒動など、皇室が抱える諸問題の根底には時代遅れの皇室典範があり、その改正が急務であるとの見方を明らかにした。