「開発スタッフ一堂との対話で、章男会長の両隣に佐藤(恒治)副会長、近(健太)社長、その外側に中嶋(裕樹)副社長と宮崎(洋一)副社長、さらに藤沢久美さん(社外取締役)まで従えて、まさに『章男様』だったね」などと皮肉交じりの感想はさらに続いた。
筆者の率直な感想を述べると、「トヨタが危機感を持ち続けているようで安心した」だ。開発現場社員が「すでに中国に負けているという認識が必要」という発言をしていたし、豊田会長は「完璧だとか、最高だって思った瞬間に衰退が始まる」「今のトヨタの1番のリスクは『俺たちすごいよね』と思うこと。そうなったら終わりです」と戒めていた点は印象的だった。
カローラは今年で60周年、「還暦」を迎える。数多くの日本車が生まれては消えていく中で、生き残ったカローラがいかに突き抜けていくか、次世代モデルが注目されるのは当然だ。紛れもなく、トヨタの今後を占うモデルだろう。
ここで、トヨタのライバル、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)に目を転じてみたい。米ゼネラルモーターズがリーマンショックで経営破綻し、トヨタも一度は赤字転落したが、その後の再建で切磋琢磨してきた相手がVWだった。
そのVWが現在、最大10万人規模(全従業員の約15%)の人員削減とドイツ国内4工場の閉鎖を検討するほど経営難に陥っている。EV(電気自動車)販売の不振や、中国勢との価格競争が直撃し、車種を半減するなど抜本的な構造改革に取り組む最中だ。
トヨタとの類似点としては、まず創業家による同族経営が挙げられる。VWは、ポルシェ家とピエヒ家が経営している。
ブランドとしては、まずラグジュアリーカテゴリーに「ベントレー」と「ブガッティ」がある。続くプレミアムカテゴリーに「ポルシェ」と「アウディ」が、そして広く一般向けにブランドとしての「VW」がある。さらに、低価格帯では「セア」と「シュコダ」が、商用車では「マン」と「スカニア」がある。二輪車では「ドゥカティ」もあり、計12ブランドを抱える。
トヨタグループもフルブランド、フルラインナップである。高級車のレクサス、スポーツカーのGR。一般向けのトヨタ、軽自動車のダイハツ、そして日野(現在はアーチオン)の商用車ブランドを抱える。また、スバル、マツダ、スズキ、いすゞと資本提携しており、この意味でも広義のグループを形成している。トヨタグループとVWグループが、互いにライバルであるゆえんだ。
さて、VWは7年前まで世界首位だったのに、いったい何につまずいたのか?







