もちろん、BYDが補助金を取りにくいように線を引かれたか、制度を設計した側にそうした意図があったと断定することはできません。実際にどのような基準で採点され、どこに配点が置かれているのかは公開されていないからです。

 採点基準が明確であれば、メーカーは改善すべき点を把握できますし、補助金額の違いも説明できます。反対に基準が見えなければ、なぜこのメーカーは高く、あのメーカーは低いのかを誰も説明できません。

「同じグループの車種なのにブランドが違うだけで補助金額が大きく異なるケースがあります。また、中国で生産され、BYD製バッテリーを搭載した他社のEVは高額な補助金が出る一方で、BYDブランドの車両は低額な補助金になっています。販売店もお客様に説明できず困っていると聞いています」

 補助金は税金です。筆者は、補助金額に差が生まれる理由を誰も説明できない制度は、問題だと考えます。メーカーにだけでなく、購入を検討する消費者や納税者に対しても、「なぜこの車種はこの金額なのか」を説明できる透明性が求められます。制度の公平性は、結果だけではなく、その過程が見えることで初めて担保されるものです。

 EV補助金は、誰のために存在する制度なのか。限られた税金は、車両価格を下げるために使うべきなのか、それとも社会に残るインフラを整備するために使うべきなのか。東福寺氏の発言は、EV補助金制度とは本来どうあるべきなのかを改めて問い掛けるものでしょう。

諸星陽一・モータージャーナリストプロフィール
RACCO広瀬アリスさんがアンバサダーに就任 Photo by Y.M.
広瀬アリスさん広瀬アリスさん Photo by Y.M.
車内RACCOの車内 Photo by Y.M.