しまむらの棚卸資産回転期間が短い背景には、「売り切れ御免」の販売ポリシーと、高度な店舗間物流の仕組みがある。売り切った商品の追加発注を行わず、ある店舗で在庫が切れた商品については他の在庫がある店舗から取り寄せることができるような自社物流網を構築することなどによって、在庫の適正化を図っている。

 棚卸資産回転期間の短縮は、しまむらの経営にとって2つのインパクトがある。1つは、資本効率の向上だ。在庫を仕入れるためには現金が必要となることから、在庫は現金が姿かたちを変えたものだと見ることができる。つまり、在庫を絞り込むことによって、在庫として寝てしまっている現金を減らすことができる。こうした在庫管理の巧みさも、しまむらの潤沢な手元資金を支える一因となっている。

棚卸資産回転期間の短縮が
利益率向上に結びつく理由

 棚卸資産回転期間の短縮に伴うもう1つのインパクトを探るために、しまむらのP/Lを20年2月期と26年2月期の間で比較してみよう。

図表:しまむら連結P/Lの比較(2020年2月期vs2026年2月期)しまむらの連結P/Lを比較する。左が2020年2月期、右が2026年2月期 筆者作成 拡大画像表示

 売上高営業利益率は20年2月期の約4%から26年2月期の約9%へと、約4ポイント向上している(こちらも四捨五入の誤差があるため、%値の差とポイント数は一致していない)。

 この間の原価率を比較してみると、20年2月期が約67%であったのに対し、26年2月期には約65%と約2ポイント低下している。つまり、売上総利益(=売上高-売上原価)を売上高で割った売上高売上総利益率(粗利益率)が約2ポイント上昇している。

 その理由の1つは、商品販売が好調だったため、値下げ販売を抑制できたことだ。商品の売れ残りが発生すると、その商品を値下げして売り切ることとなるが、これが粗利益率を圧迫する。一方で、棚卸資産回転期間が短くなっているということは、その分在庫の回転が早く、多くの商品を値下げせずに売り切ることができていることを示している。これが、棚卸資産回転期間の短縮がもたらすもう1つのインパクトだ。商品戦略に加えて、在庫管理がうまくいっていることが、しまむらの粗利益率を支えている。

 粗利益率改善には、在庫管理だけではなく、粗利益率の高いPBやJBの販売拡大も寄与している。例えば、しまむら事業(ファッションセンターしまむら)におけるPB売上比率は、24年2月期の約22%から、26年2月期の約25%へと増加している。こうしたことも、全体としての粗利益改善に貢献している。

 なお、販管費率も20年2月期の約28%から、26年2月期の約26%へと、約2ポイント低下している。同期間の店舗数が2158店から2233店へと約3%増加したのに対し、売上高は約5228億9400万円から約7013億8400万円へと約34%増加しており、人件費といったコストの上昇を、店舗の生産性向上によって吸収できたためだ。