26年版・倒産危険度ランキング【危険水域408社】 過剰債務企業に迫る「最終審判」#4Photo:PIXTA

新型コロナ禍による最悪期を脱し、活気を取り戻したように見えるアパレル業界。しかし足元では、原材料高と人件費上昇の負担が重くのしかかり、繊維メーカーから専門店まで、サプライチェーン全体の「選別」が加速している。祖業の繊維事業からの撤退を決断した老舗もあれば、世界市場をにらんだ拠点再構築に活路を求める企業もある。特集『26年版・倒産危険度ランキング【危険水域408社】過剰債務企業に迫る「最終審判」』の#4では、アパレル企業の倒産危険度を検証。“危険水域”にランクインした24社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

名門ユニチカが繊維事業から撤退
官民ファンドの支援下で経営再建

 アパレルの店頭は、ポストコロナの反動需要やインバウンド(訪日外国人)の回復で、表面的には活気を取り戻した。だが、アパレル業界の経営環境は依然として厳しい。

 スーツ離れやフォーマル需要の縮小という構造変化は止まらない。インフレで消費者の生活防衛意識は高まっており、衣料品に対して財布のひもは固くなっている。

 一方、円安による仕入れ値や物流費の高騰などで生産コストは上昇しており、「最低賃金1500円」を見据えた人件費上昇への対応も迫られている。繊維から小売りまで連なるアパレルのサプライチェーンにおいて、財務体質の弱い企業や構造改革が遅れた企業から順に「ふるい落とし」が進んでいる。

 サプライチェーンの川上では、祖業の繊維事業を売却・縮小し、収益性の高い分野を強化・再編する動きが出ている。

 かつてはカネボウ(現クラシエ)、東洋紡と並ぶ三大紡績の一角だった名門・ユニチカは、繊維事業からの撤退を決めた。衣料繊維や不織布などを製造する主力の岡崎事業所(愛知県)をセーレンに譲渡するなど、大規模な事業売却と減損処理を進めている。

 これに伴い、2025年3月期の最終損益は242億円の赤字に膨らんだ。三菱UFJ銀行などの取引銀行は430億円の債権放棄に応じ、現在は官民ファンドの支援下で経営再建を進めている。

 その一方で、攻めの姿勢を見せる企業もある。シキボウは25年度からの中期経営計画で、繊維事業を成長事業と位置付けた。ユニチカから譲り受けるユニホーム事業や海外の衣料繊維事業を、自社の製造基盤と組み合わせることで、グローバル販売を拡大する方針だ。

 東洋紡は、エアバッグ用素材を手掛ける中国子会社を帝人フロンティアに売却し、エアバッグ事業をタイ拠点に集約する再編に動いた。安全部材向けの高機能繊維の分野でさえ、世界市場をにらんだ拠点再構築が常態化している。

 今回、ダイヤモンド編集部はアパレル企業の倒産危険度を独自の指標で検証。その結果、24社が“危険水域”とされるZスコア1.81未満に沈んでいることが分かった。次ページで、その顔触れを紹介していく。