ホイールベース延長「340mm」、この数字に決まった理由
F:短ければ後席へ乗り込みにくい。長ければ悪路で腹を擦る。そこで出てきたのが、ホイールベースを340mm延ばすという数字ですか?
佐:そうですね。詰めれば詰めるほど悪路走破性は有利になります。するとリアドアが短くなって乗り降りしにくくなる。逆に伸ばせば伸ばすほどリアドアを大きくできるから後席の乗降性が上がる。でも長くし過ぎると上り坂から下り坂へ移るような場所で車体の中央を擦りやすくなる。いわゆるランプブレークオーバーアングルが厳しくなって、亀の子になる。後席への乗降性をきちんと確保しながら、できる限り短くする。そのバランスを詰めた結果が340mmです。
ランプブレークオーバーアングルとは、山型に盛り上がった地形を越える際に、車体中央の腹を地面に擦らず通過できる角度のことだ。数字が大きいほど、より鋭い山を越えられるようになる。
ホイールベースが長くなるほど角度は小さくなり、頂上で腹をつかえて“亀の子”になる可能性が高くなる。ノマドは後席を広くするために車体を伸ばせば伸ばすほど、ジムニーにとって重要な悪路走破性を失っていくのである。快適性と走破性を天秤に掛けるのだ。
ランプブレークオーバーアングル「23度」の根拠
F:いただいた資料にはノマドのランプブレークオーバーアングルが23度と書いてあります。はじめにこの数字ありきで図面を引いたのですか?
佐:いえ、「絶対に23度を確保しよう」と、数字を先に決めたわけではありません。歴代のジムニーも、アプローチアングルやデパーチャーアングル、ランプブレークオーバーアングルの数字はそれぞれ違います。その時代の車体や使われ方に合わせて造り込んできた結果です。
今回も同じで、まず5ドアとして後席へきちんと乗り降りできる長さを確保する。一方で、ジムニーとして悪路を走れるだけの性能は残さなければならない。これまでの開発経験から見て、23度であればジムニーとして必要な悪路走破性を保てる。その範囲に収めながら乗降性とのバランスを詰めた結果、ホイールベースの延長量が340mmになり、ランプブレークオーバーアングルが23度になった、という順番です。







