ロッテ マーケティング本部第一ブランド戦略部焼き菓子企画課の本原正明課長(左)と久保田祐揮主査 Photo by M.F.
商品のパッケージデザインは、デザイナーが幼少期に雑誌で読んだ熱帯植物「パンノキ」から着想を得たとされている。パンノキの実を焼くと、パンのような風味がすることから、次々とパンができる夢のような木というイメージをデザイナーは持っていたそうだ。
「パンノキを元に、パイが次々と実っている不思議で可愛らしいイラストを描き上げました。素材や味わいを訴求する菓子が多い中、商品の世界観で勝負した経緯があります」と久保田氏は語る。パッケージデザインが発売当時からほとんど変わっていない点も珍しいという。
パイの実はすぐさま消費者に受け入れられ、発売直後から売り上げは好調だった。
他社に後追いされる可能性もあったはずだが、技術的な参入障壁の高さから、類似商品はほとんど登場しなかった。パイ生地を折る技術に加え、チョコレートを注入する工程の難度が高く、今でもパイの実のような商品はないと久保田氏は胸を張る。
実は、こうしたイノベーティブな商品はロッテのお家芸ともいえる。
マーケティング本部第一ブランド戦略部焼き菓子企画課の本原正明課長は「後発ゆえに誰かの真似をするなというのが創業者の思想だった」と話す。
定番のチョコレート色のパッケージデザインではなく赤色を基調にした板チョコ「ガーナ」や、アイスクリームを求肥で包んだ「雪見だいふく」、飲むアイス「クーリッシュ」など、独自性を最優先する商品開発文化が同社に根付いているという。
パイの実に関しても、開発当時から世界の技術動向にまで目を向ける視野の広さがあった。
「製造原価などよりも先に、最高においしいものをどう作るかを考える」(本原氏)という開発姿勢が、結果として他社が模倣しにくい商品を生み出してきたのである。







