発売から40年
パイの実に訪れた「転機」とは?
大きく崩れはしないものの、ブランドは成長のピークを過ぎて足踏みが続いていた。
原因を探る中で浮かび上がったのが、パイの実が長らく「チョコレート」のカテゴリーで戦い続け、肝心の「パイ」そのものにはほとんど手を入れてこなかったという事実だった。
発売以来、パイの実はチョコレート部門が管轄していて、チョコレートの品質向上やフレーバーの改良には取り組んでいたが、パイ生地そのものを見直す発想はなかった。転機は2019年、商品開発の主管がビスケット部門へ移ったことだ。
「パイの実と言いながら、パイについて真剣に考えたことがなかった」(久保田氏)という状況から、開発チームは改めてパイそのものの食感を追求し始める。
近年はパイ生地の改良を強化 Photo by M.F.
最初はチョコレートの風味をより強く感じさせるため、パイをあえて口の中で早く崩壊させる方向を試したが、パサつきが強く出てしまい不評だったという。そこで方向転換し、デンプンを加えることでカリカリとした食感に寄せる生地の改良を実施。工場から出荷されたばかりの焼き立てのおいしさを再現することを目標に据え、香りの面、食感の面からの追求という2段階でチューニングを重ねた。
2024年の発売45周年リニューアルでは、これに加えてチョコレートの口溶けの速度をパイの食感と絶妙に合わせる調整も実施し、「史上最高のサクサク食感」というメッセージとともに打ち出した。パイのサクサク感を先に感じさせ、その後にチョコレートの満足感を残すという設計は、この時初めて確立されたという。
発売以来ほぼ手をつけてこなかったパイ生地に本格的にメスを入れたこの改良は、SNS上でも「おいしくなった」「焼き立てみたい」といった反応を集め、長年のファンからも支持を得た。







