「チョコ菓子なのにチョコの量が少なくない?」
消費者からの声でヒット商品が誕生

 スタートダッシュに成功したパイの実は、1986年に大袋商品(ファミリーパック)、2001年にはセカンドフレーバーとなる「パイの実〈高原のいちご〉」を投入するなど、時代に合わせてラインナップを広げてきた。

パイの実大袋商品は1986年から販売している Photo by M.F.

 こうして育った独自性の高いブランドとしての強さは、裏を返せば、積極的に選び続ける理由がないという課題も抱えていた。

 本原氏は、パイの実の世界観が好きで、買い続ける客層は一定数いる一方で、常に耳目を引くような刺激を与え続けなければ、新規顧客は獲得できず、売り上げは上振れしないブランドでもあったと分析する。

 実際、1990年代後半は、パイの実の売り上げは横ばいが続いた時期だった。

 2000年代に入ると、さまざまなフレーバーを開発するほか、ハロウィーンなどのイベントに合わせた商品も企画していく。2010年代には他社とのコラボレーションに力を入れ、2017年4月にはチーズタルト専門店・PABLOとの「パイの実<PABLO監修プレミアムチーズケーキ>」、同年8月にはコメダ珈琲店との「パイの実<コメダ珈琲店監修シロノワール>」を発売した。

 ただし、こうした取り組みは瞬間風速的になりがちだ。

「新しい顧客を取るためにコラボ商品などを出して一時的に売り上げが上昇したとしても、その顧客はいずれ抜けてしまいます。そうした状況が繰り返されていました」と本原氏は明かす。

 新規顧客を獲得し、さらに定着させるためにはどうすればいいか。熟考の末、2019年9月にリリースされた新商品が、ビターな味わいを強めた「チョコを味わうパイの実<深みショコラ>」だった。