商品開発の背景には消費者の声もあったようだ。
「パイの実は独自性の高いブランドではあったものの、チョコレート菓子市場で戦っていると、『パイの実って、チョコ菓子だけどチョコの量が少なくない?』といった意見をよく目にしました。実際、チョコレートの量を増やしてほしいといった要望もあったため、その打開策として、パイの実の生地もチョコの味わいが楽しめて、中身もカカオ投入量を多めにした新商品が生まれたのです」(久保田氏)
今では売れ筋商品になっている「チョコを味わうパイの実<深みショコラ>」 Photo by M.F.
これがチョコレート好きの新規顧客を取り込むことに成功し、この年は過去最高の売り上げを記録。以降、オリジナルのパイの実に次ぐ、第2の定番商品となった。
もっとも、新規に獲得した層が完全に定着したわけではない。他社のチョコレート菓子に流れていく客も一定数いて、その後は停滞期に入る。
もう一つ、度重なる価格改定も低迷の一因に挙げられる。2022年9月、2024年8月、同年11月、2025年7月と値上げを実施し、150円から現在の240円まで価格を引き上げた。本原氏は「200円を超えたあたりから、価格帯を理由に離れていく顧客もいました」と話す。
それでもパイの実が大崩れしなかった理由とは何だろうか。
背景には、40代女性を中心に幼少期からのファンが存在している点と、売り上げの約7割を占める大袋タイプの強さがある。2個入りの個包装は家庭や職場などでの置き菓子、お裾分けに使いやすいほか、透明な包装により一目で中身が分かる安心感が、親から子へと体験を継承させる仕組みになっているという。
本原氏はこれを「家族で食べられる菓子」というポジションを取り続けてきた成果だと強調する。







