細井弁護士:さらに、民事上も、名誉毀損やプライバシー侵害などを理由として、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求の対象となる可能性があります。

 また、第三者の投稿をリツイートやシェアしただけであっても、法的責任を負う場合があります。裁判例では、名誉毀損的な内容を含む投稿を単純リツイートした行為について、新たにその情報を拡散したものとして、リツイートした本人の損害賠償責任を認めています(大阪高判令和2年6月23日)。

 今回のように、出身大学やSNSアカウントなどの情報とともに、事実と異なる憶測や誹謗中傷が拡散された場合には、投稿者だけでなく、その内容をリツイートやシェアによって拡散した人も、法的責任を負う可能性があります。

SNSの炎上に
企業が取るべき初動対応

――不適切行為ではないSNSの炎上では、企業側の対応が遅れてしまいそうです。では、どのような初動対応が望ましいでしょうか。

 SNSの炎上は、以前よりも鎮火するスピードが早まっている一方、一度インターネット上に拡散した情報を完全に削除することは事実上困難です。そのため、被害を最小限に抑えるためには、平時から備えを行うとともに、炎上が発生した際には迅速に初動対応を行うことが重要です。

 SNSを運用している企業は、少なくとも次のような体制を整備しておくことをお勧めします。

1 SNS投稿基準を策定し、投稿前の確認体制(承認フロー)を整備する
 社員の写真や氏名、勤務先など、本人を特定できる情報を投稿する場合には、投稿基準を策定するとともに、本人の同意を取得し、複数人による確認・承認を経て投稿する仕組みを整備することが重要です。投稿前のチェック体制を整えることが、炎上リスクを未然に防ぐ最も有効な対策となります。

2 炎上時の初動対応フローをあらかじめ決めておく
 炎上が発生した場合に備え、誰が事実確認を行うのか、投稿やコメントの保存・証拠保全をどのように行うのか、投稿の削除・非公開を検討するのか、対外的な説明を行うのかなど、初動対応の役割分担や判断基準をあらかじめ定めておくことが重要です。初動が遅れるほど、情報は拡散し、被害も大きくなります。