なぜ異論や反発がこれほど大きい?
引き下げ効果と財源に疑問の声多数
今回の引き下げについて、国民会議での議論はまとまらなかった。有権者をはじめ、自民党内や野党からも懸念や反対が出た。そうした状況下、首相の方針はかなり強引な印象を残した。「首相は財政悪化の問題を楽観視している」との見方も増えたようだ。
首相の頭の中では、消費税率を引き下げると、物価上昇に歯止めがかかるとの考えがあるのかもしれない。ただ、原材料価格が上昇する中で、インフレの勢いをそぐのは容易ではない。税率引き下げの効果がどれほど顕在化するかは、専門家の間でも難しい議論になっている。
来春、すぐに個人消費が盛り上がり、景気が拡大するとは考えにくい。むしろ今回の税率引き下げが、将来世代へ負担を先送りする懸念を高めるとの指摘も多い。年金、医療、介護、子育ての不安が高まる結果として、中長期的には消費者心理を圧迫する恐れは高い。
わが国の社会福祉制度は国際的に「中福祉・低負担」といわれている。少子高齢化は想定よりも速いスピードで進行している。制度の持続性を高めるためには、財源として消費税率を引き上げ、給付と負担のバランスを取るべきと指摘する経済の専門家は多い。
今回の減税措置は、そうした指摘に逆行する。2年間で約10兆円も税収が減るのに、財源を明示していない。首相は、現時点で確定していない項目を当てにしている。外為特会の剰余金の活用、独立行政法人などからの国庫納付金など「税外収入」をかき集めて、どうにかするとの見解のようだ。
現時点で確立した財源がなく、減税を実施する――。財政健全化の観点では、やや大ざっぱな措置にみえてしまう。首相は、責任ある積極財政を掲げるものの具体的にどのように責任を持つのか分かりにくい。







