沸騰!エンタメビジネスPhoto by Masato Kato

「AIを使って制作したゲーム」というワードはとかく炎上しやすい。ゲーム会社がAIにより存在意義を失うのではないかという懸念は株式市場にも広まっている。その中、AI活用を積極的に打ち出している数少ない会社がコロプラだ。AIを使ったゲームのリリースも相次ぎ行う中、この難しい命題をどのように捉えているのか。連載『沸騰!エンタメビジネス』の本稿では、社内AI活用の責任者である菅井健太上席執行役員CIO(最高情報責任者)に真意を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

AIを使ったゲームを正面からリリースし続けるコロプラ
ゲーム業界でのAI脅威論にどう対応するか

――「ゲーム業界でのAI活用」というキーワードは、さまざまな意味で炎上しやすいテーマです。コロプラでは社員がAIを100%利用することを目標にしているほか、『神魔狩りのツクヨミ』※1や9月1日リリースの『アクティブシネマRPG 369(ミロク)』※2など、AIを制作の中心に置いたタイトルもリリースしていますが、そもそもAI活用をどのような考え方で進めていますか。

 369では、AIを使って何ができて何ができないのかを、一度きちんと検証してみたいという意図もあり、開発のさまざまな場面で、できるだけ積極的にAIを取り入れています。これまでは活用する場面を慎重に選んできたこともあり、ここまで踏み込んでAIを使ったのは「369」が初めてです。

369 場面写真 1写真提供:コロプラ
369 場面写真 2写真提供:コロプラ

 社内のAIポリシーでは、クリエーティブは人が責任を持ち、AIはあくまでバディやサポーターであると位置付けています。また、AIは会社やタイトルや現場の状況などのコンテクストを載せないと能力を最大限に発揮できないので、その土台を整えることに力を入れています。独自のAIエージェントを用意しているほか、日々のオンライン会議の録画やSlackでの発言をAIが集めて週初めに「先週はこんなことをしましたが、今週はこういう話をしたらどうですか」などのタスク抽出や次のアクションの提案までしてくれるシステムもあります。社員がゲームで新しい体験をつくることに集中できるように、AIがサポートしてくれるという環境をつくることに注力しています。

 現在は個人としてはほぼ全員が使っている状態ですが、「より深く使えているか」「チームで使えているか」「ワークフローをAIに移譲できているか」などの点から改善を図っているところです。AIが必要な情報にアクセスできない、権限がない、そもそもどこに相談すればいいのか分からない、といった壁があるので、今はそこを整理して、個人利用からチーム、組織での活用へ進めているところです。

――AI導入はメリットばかりもたらすものではなく、フロンティアAIモデルの暴走などのAIそのものが抱えるリスクや、AIの採用によって人間の仕事が奪われるのではないか、などの懸念も出ています。そうしたことを踏まえて、コロプラでは「AIと作品作りの関係性」について、社内外にどのような形で伝えていますか?また、ゲーム制作の現場では、具体的にどのような使い方をしていますか。