沸騰!エンタメビジネス#14Photo:Feature China/gettyimages

またも好調に終わったソニーグループの2027年3月期第1四半期決算。だが、その中核のゲーム事業に関しては、決算の一過性要素には表れない構造的な問題があるという。それは何か、そしてソニーはどう対策すべきなのか。連載『沸騰!エンタメビジネス』の本稿では、一見好調なソニーのゲーム事業に潜む二つの課題についてアナリストが分析する。(東洋リサーチアドバイス シニアアナリスト 安田秀樹)

またも増収増益決算のソニーだが
「好調」は一過性の外部要因に支えられている

 今回はソニーグループの決算と、そこから見えてきた課題について考察する。2027年3月期第1四半期決算は、売上高2.8兆円(前年同期比8.2%増)、営業利益4764億円(同40.2%増)と増収増益であった。決算自体は非常に好調であるが、この背景には二つの外部要因が含まれている点に注意が必要である。

 一つは、ゲーム事業においてトランプ関税と呼ばれた米国IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税が、米国での違憲判決を受けて還付されたことだ。ソニーグループは具体的な金額を開示していないが、関税実施前に米国へ輸送できた台数の規模や、米国におけるPlayStation 5(PS5)およびPS5 Proの価格がNintendo Switch2よりも高額であったことを考慮すると、任天堂の3億ドル(約480億円)を上回る規模であったと推測される。

 もう一つは円安である。現状は日米の通貨介入によりやや円高へ振れているものの、第1四半期の段階では1ドル=160円を超える円安が続いた結果、業績を押し上げた。ソニーグループはコンテンツビジネスをグローバルに展開しているため円安の恩恵を受けやすく、音楽ストリーミングサービスやCMOSセンサーなどが想定通りに進捗し、全体として計画を上回る結果となった。

 これら二つの効果により、通期営業利益予想も前回予測比1200億円増の1.72兆円へ上方修正された。十時裕樹社長が明確なビジョンを持って経営に当たっているため、通期で見ても不安要素は小さい。会計上の利益という観点では何ら問題はなく、筆者も大変良好な結果であったと評価している。

 ただ、あえてこのような前置きをしたのは、ソニーグループのエンターテインメント事業には、なお大きな課題が存在すると考えるからである。業績好調なソニーグループの何が問題なのか、ここから深く掘り下げていく。