同じモーター、同じバッテリーで64馬力と95馬力の謎
F:同じモーター、同じバッテリーで64馬力と95馬力。そう聞くと「なんだ、N-ONE e:をちょっと幅広にして、ECUで64馬力の封印を解いただけじゃん」と思う人もいると思うのですが、実際はどうなのでしょう? 軽自動車にはサードパーティーから64馬力の封印を解くようなパーツもたくさん出ていますよね。
赤:ありますね。ガソリン車のN-ONEなどでは、そういうサードパーティー品もあります。実は社内の実験で使ったことがあるのですが、80馬力くらい出るN-ONEなんてのは確かに乗ると結構楽しいです(笑)。
でもあくまで出力の上限を変えているだけですから。足回りやブレーキは64馬力仕様のままで性能に合わせて造り直しているわけではありません。我々が試したのは当然テストコースで、公道ではありません。外で走るのは危険極まりない。メーカーとしては当然お勧めできませんし、保証もできなくなる。
F:馬力だけなら出せる。でも速くなった分を、曲がる、止まる、壊れないところまで全部成立させなきゃいけない。それがメーカーの造るSuper-ONEと、いわゆる封印解除チューンとの決定的な違いというわけですね。
「封印解除チューン」とSuper-ONEの決定的な違い
赤:はい。Super-ONEはまずトレッドを前後とも50mm広げています。フロントは専用のロアアームを伸ばしてタイヤを外へ出して、ナックルも変えています。リアはHビームとハブの間で広げています。いわゆる後付けのスペーサーでホイールだけ外へ出しているのとは訳が違います。タイヤも大径化しているし、幅も広げている。スプリングレートも前後とも上げて、ダンパーも中身のチューニングを変えています。
F:「足回り強化」というレベルではありませんね。
赤:はい。グリップの高いタイヤを履けばそれで終わりではないんです。タイヤが踏ん張るようになると、今まで滑って逃げていた力が逃げなくなる。横Gを保ったまま曲がれる分、今度はボディ側へ入って来る力が大きくなる。耐久性にも効いてきますから、サブフレームなどは板厚を変えて強化しています。車重もN-ONE e:に対して60kgくらい増えています。装備の差もありますし、タイヤ、ホイール、シャシー側も含めて、必要なものを一つひとつ入れていった結果ですね。







