スタートボタンを2度押すと、かわいらしい電子音が鳴る。スタート準備が整ったというクルマの返事だ。バッテリー残量が十分な場合、エンジンは目覚めない。
パーキングをBEV(前輪駆動だ)で静々と出発。音の出ないフェラーリもまた乙なもの。そう思うと俄然、ルーチェが楽しみに、という話はさておき。
早朝の港町をそのまま静かに走り抜け、オープンロードに入ってドライブモードをレースに変えた。同時にV8エンジンが眼を覚ます。そのままシームレスにエンジン駆動となり、軽やかなサウンドが背後から聞こえてきた。まずはリアの垂直ウィンドウを下げる。車体の剛性感はまるでクーペと変わらず、解放されたリアの窓から猛々しいサウンドが、ほどよいボリューム(爆音では決してない)で室内に流れ込む。この状態が最も気持ちいいかも、と思いつつ、次に速度を40km/hちょいまで落としハードトップを開けた。所要時間は15秒足らず。初夏の日差しが体を一気に温める。
849テスタロッサ・スパイダーのスタイリングはフラヴィオ・マンゾーニが率いるフェラーリ・デザインセンターが造形。垂直と水平方向のラインが織りなすビジュアルは、航空分野と1970年代のレーシングカーからインスピレーションを受けたという。西川氏は「ドアの切り口が見事な流線型で惚れ惚れする」と表現。機能と胸踊るディテールが融合した室内も「マラネッロは“ほしくなるインテリア”に優れている」と絶賛。走りも先代のSF90比でクオリティが進化しているとコメントした








