注目の屋根はリトラクタブルハードトップというカタチで電動収納する。要する時間は14秒。コンソールの先のほうにわかりやすくスイッチが備わる。45km/h以下なら走行中でも稼働可能だ。トップの素材はアルミで、今回は収納スペースをコンパクトにする努力が行われたそうだ。

 さっそく走った印象だが、まずはクルマ自体の出来栄えに驚いた。ステアリング操作に対する反応の素早さと正確さは圧倒的。塊感でいえば、レーシングカーのようなフィーリングだ。ワイドトレッドがおもしろいように右へ左へと向きを変える。なので、車両感覚が掴みやすく、クルマのすれ違いでもそれほどシビアにならなくていい。路肩のラインを難なくトレースできる。

 スタートや中間加速に関してはいまさら多くを語るまでもないだろう。モーターがまるで時空をワープするように景色を置き去りにする。と同時に、しばらく乗っていると乗り心地のよさに気づいた。ロープロファイルなタイヤであることを感じさせないくらい快適だ。路面からの突き上げはなく、ボディはフラットライドを保つ。ここは電子制御式サスペンションの恩恵だが、彼らはスパイダー用にセッティングし直している。補強部材による車両重量を感じさせないための仕様だ。

 この快適さはデフォルトとなるマネッティーノの“スポーツ”もそうだし、“レース”でも同じ。路面を掴むチカラが変わってもつねに乗り味はキープされる。いってしまえば、ラグジュアリーな乗り心地だ。きっとここが公道用とチャレンジなどのレーストラック用の違いなのだろう。ちなみに、風の巻き込みはそれなりにある。かなり工夫を凝らしているようだが、後方からの巻き込みは若干残る。ただ、エグゾーストサウンドを聴けるのがスパイダーの醍醐味。V8サウンドがそのまま耳に飛び込んでくる。モーター駆動中は……逆にその静かさに驚かされた。

 最後にデザインだが、このクルマは二次元と三次元ではまったくイメージが異なる。スクエアなラインは写真では伝わらないかもしれない。つまり、写真で観るより実物はカッコいい。1970年代のツインテール、1980年代のリトラ風ヘッドライトデザインもワルくない。過去モデルを現代風に解釈したスタイリングは秀逸に仕上がっている。

フェラーリ・849テスタロッサ・スパイダーリアビュー

(CAR and DRIVER編集部 報告/西川淳+九島辰也 写真/Ferrari)

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