そのまま速度を上げていく。低速域では少しきしんだが、次第に気にならなくなる。風の巻き込みはさほどではない。トノカバーブリッジの計算された形状と、特許構造のウィンドウキャッチャーが効いている。とはいえ髪の毛は乱れるから、女性には嫌われそうだ。
加速性能は超一級である。SF90でもいまなお最速レベルだから、それ以上を標榜する849の加速に不満はない。それよりクオリティが進化した。SF90ではどこかスペースシップのように移動する感覚があって、少し不安もあった。849は路面をしっかりと感じながら加速する。フロントモーターの存在をことさらに感じさせず、それでいて安定しているのだから上手い。コーナリングではフロントの動きもクリアで正確。RWDほどではないけれど、それに近い動きだった。
感心したのがブレーキフィールだ。回生を含め、さまざまな制御が入っているはずなのに、ダイレクトで潔く、さらにコントローラブル。制動もまた楽しめる。
街中からシーサイド、ワインディング、望めばアセットフィオラノ仕様でサーキットまで。849テスタロッサは、実にオールマイティなスーパースパイダーである。マラネッロは確実に前進している。
849テスタロッサ・スパイダーのルーフはRHT(リトラクタブルハードトップ)構造。コンソール部に開閉スイッチがあり、14秒で開閉。45km/h以下なら走行中も操作ができる。パフォーマンスはマラネッロの頂点。九島氏は「ステアリング操作に対する正確な反応は、まるでレーシングカーのよう。加速も強烈でモーターがまるで時空をワープするように景色を置き去りにする」と感嘆。乗り心地のよさにも驚いたという
反応の素早さと正確さは圧倒的。快適性も素晴らしい
証言/九島辰也
849テスタロッサ・スパイダーのメディア向け国際試乗会がスペイン領テネリフェ島で行われた。カナリア諸島のひとつで、グランカナリア島とツートップを競う観光地だ。温暖な気候がウリで1年を通して寒暖の差が少ないらしい。多弁なホテルスタッフがいろんなことを教えてくれた。
ここで849テスタロッサをおさらいすると、このクルマはSF90の後継となる。つまり、プラグインハイブリッドのハイパーカー。4L・V8ツインターボと3基のモーターで強力な駆動力を発揮する。830psの内燃機関と合計220psのモーターでシステム合計1050psというシロモノだ。スペチアーレを除くフェラーリのラインアップ中で最もレーストラックを意識したモデルという位置付けになる。







