富裕層必見!資産防衛&節税術Photo:PIXTA

経営者にとって頭の痛い問題である相続。事象承継。対策が必要になったときに慌てて始めても間に合わないが、うまく進めるにはどうしたらいいのか。連載『富裕層必見!資産防衛&節税術』の第38回では、相続・事業承継を成功裏に進めるための対策を税理士が解説する。(税理士 吉澤 大)

まず行うべきはYouTubeで見た節税対策ではなく
理想とする相続・事業承継の姿を見極めること

 私の父は、ある会社の社長を務めており、63歳のときに現役のまま亡くなった。突然倒れて病院に運ばれたところ、がんが全身に転移しており、余命半年との宣告を受けた。

 その父に向かって「ところで親父、こうすると相続税の節税になるからこの書類にサインをしてくれ」とは、人として言えるものではない。結果として、相続税対策のプロである私が、やるべき方策を何一つ講じられないまま、ただただ高額の相続税を支払うことになったのである。「相続対策は早めに取り組むべきだ」と人に説く側の人間なのに。

 相続対策と聞いて多くの方が真っ先に思い浮かべるのは、いかに相続税の負担を減らすかという節税対策であろう。最近では、「YouTubeで見たあの節税対策を実行してほしい」という相談が私のところにも来る。しかし私は、そのような相談をお受けしていない。

 相続・事業承継対策は、現状を把握し、理想とする姿を目指して、その実現のハードルとなる部分を一つ一つ解消していくという作業だ。だが、私自身がうまくいかなかったように、相続が発生する前に家族が万全の対策をしておくことは心情的にも難しい。

 今回は、残される側も財産を残す経営者側もあまり気が乗らない作業である相続・事業承継対策について取り上げる。残される家族や後継者と、経営者側はそれぞれどのような対策をしておくべきなのか。次ページから見ていこう。