私たちは、誰を支え、誰に支えられているのか
基調講演の後、ホウラハン氏は会場から寄せられた「2036年のBコープコミュニティーの理想像は?」という質問に、相互依存宣言を踏まえてこう答えました。
「この経済がうまく機能する唯一の道は、私たちが互いに依存し合っていると認識することです。創業時にすでに書いていたことですが、まだ実現していません。相互依存を認めた上で経済システムを築くことが、次の10年のビジョンです」
特定の人や企業だけが大きな業績を上げるのではなく、互いに支え、支えられる関係の中からより良い社会をつくっていく。私はそこにパーパスの本質があるように思います。
本稿で紹介した4社では、パーパスが「自社が何者か」を表明するためではなく、「自社は誰を支え、誰に支えられているのか」を問い直す軸として機能していました。
クラダシは、社員や投資家との関係を、理念を共有する関係へと変えようとし、バリューブックスは、経営者と従業員が対話を通じて未来を共に設計しようとしています。
パタゴニアは、企業と地球、現在の世代と未来の世代との関係を所有構造にまで埋め込み、UPDATERは、売り手と買い手を、互いを支え合う関係性へと結び直しています。
もし、自社のパーパスが機能していないと感じるなら、着目すべきは、額縁の中に入れた言葉の美しさより、その言葉が誰との、どのような関係を照らしているのか、という点かもしれません。クアラルンプールで友の遺志を語り継ぐ創業者の姿を見ながら、私はそんなことを考えました。







