とはいえ全高1800mm。ロールはする。するのだが、そのロールから受ける印象が、外観から想像するものと大きく違う。要するに「怖くない」のだ。N-ONE e:から乗り換えた直後だったからこそ、その感覚が際立った。
理由はもちろん、床下に置かれたバッテリーだ。ラッコでもっとも大きく重い部品であるブレードバッテリーは、車体の低い位置に配置されている。背は高いが、重いものは下にある。しかもCTBによって、そのバッテリー自体を車体構造の一部として利用している。
EVでは航続距離や車重の話になると、巨大で重たいバッテリーがしばしば弱点として槍玉に挙げられる。ラッコはその重量が低重心化に効き、CTBによって車体剛性にも寄与させている。重さを走りの武器として使っているわけだ。
EVとスーパーハイトワゴンの好相性、そして「中国車」という壁
スーパーハイトは快適な室内空間と引き換えに重心が高くなりやすい。
だがその床下にもっとも重い部品を敷き詰めるEVならば、弱点をかなり打ち消すことができる。EVとスーパーハイトワゴンは、実はかなり相性がいいのではないか。ラッコに試乗してそんなことを考えた。そして同時に、少し怖くなった。
BYDは日本の軽自動車市場で完全なる新参者である。
対する日本メーカーは、この小さな箱の中で何十年も技術とノウハウを磨き続けてきた。軽自動車は日本メーカーの牙城中の牙城。海外メーカーが簡単にマネできる世界ではない。はずだった。ところが初めて造った軽自動車がこれである。
ラッコがこれから売れるかどうかは分からない。価格も重要だし、正直アフターサービスに不安も残る。そして何より「中国車」という高い壁が待ち構えている。何しろ2008年の中国製冷凍餃子中毒事件まで持ち出され、クルマと毒入り餃子を一緒くたに語られちゃうくらいですからね。だがクルマそのものを見れば、決して余裕で見下していられる相手ではない。断じてない。
世界最大のBEVメーカーが、日本でしか通用しない軽規格のためにわざわざ専用車を造り、ブレードバッテリーを積み、CTBを使い、2000MPa級の鋼板まで使って本気で投入してきたのだ。そして実際に走らせてみれば、本当に良い。
これを「中華製軽自動車ねww」と鼻で笑って済ませるのは余りにも危険ではないか。







