「NZドル」なぜ利上げでも上昇しないのか?11月総選挙で浮上する金融政策転換リスクPhoto:PIXTA

ニュージーランドでは原油高によってインフレ率が4.1%に加速し、中央銀行は2会合連続の利上げに踏み切った。景気も輸出や公的需要を支えに底堅さを示すが、通貨NZドルは弱含んでいる。背景には、11月7日の総選挙で政権交代が起きれば、中央銀行の政策目標が変更されるとの観測がある。選挙結果は追加利上げの行方を左右する可能性がある。(第一ライフ資産運用経済研究所主席エコノミスト 西濵 徹)

原油高でインフレ率4.1%に加速
コア物価は落ち着き金融政策に難題

 ニュージーランドでは、2025年以降のインフレ率が加速してRBNZ(ニュージーランド準備銀行)の定める目標レンジ(1~3%)の上限を上回る伸びで推移してきた。さらに、イラン情勢の悪化による原油高はエネルギーインフレを招いており、26年4~6月期のインフレ率は前年同期比4.1%と23年10~12月期以来の高い伸びに加速した。

 この水準はRBNZが7月の定例理事会で示した見通し(前年同期比3.9%)を上回ったため、金融市場では、RBNZが9月の定例理事会で追加利上げに動くとの見方が広がった。

 一方で、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同期比2.5%と目標レンジ内で推移するとともに、前期(同2.6%)からわずかに伸びが鈍化している。エネルギー以外の物価は比較的落ち着いている。これには、雇用不安が根強いため賃金上昇圧力が高まりにくく、価格転嫁の動きが広がりにくいことが影響している可能性がある。

 次ページでは、景気動向や11月に実施される総選挙の行方を検証しつつ、ニュージーランド経済の先行きを予測する。