
河上康博
台湾周辺で繰り返されている中国人民解放軍の大規模軍事演習はその都度、初めてとなる活動を重ねて既成事実化し「一つの中国」達成への布石を打っていく狙いだ。中国・台湾とも地理的に近い日本は、「台湾有事」抑止だけでなく、既成事実化による中国の影響力拡大の抑止でも重要な役割がある。

外交交渉などで「取引(ディール)」を多用すると考えられるトランプ政権だが、中国に対するディ―ル外交を含め台湾有事では台湾への武器供与や米軍派兵を絡めて4つのシナリオが考えられる。日本は平時でも有事でも米国が台湾に関与することを説得し続ける必要がある。

北朝鮮軍の「ロシア派兵」を機にロシア・ウクライナ戦争がエスカレートしている。北朝鮮は派兵の対価としてロシアから軍事技術・装備を得るなどで金正恩体制の維持・強化を図るのが究極の狙いだが、ロ朝の接近で逆に中朝関係は悪化するなど国際情勢の不安定化が強まる。
