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中東情勢の緊迫化を受けて、建設資材の出荷統制や受注停止のニュースが相次いでいる。管理組合の間には「修繕工事ができなくなるのではないか」という不安が広がっている。連載『マンション羅針盤』の第26回では、建設工事のサプライチェーン構造を読み解きながら、マンション管理組合が備えるべき具体的な対策を解説する。(コネクトコンサルティング 代表取締役・税理士法人アイム会計事務所 社員税理士 大浦智志)
原油からシンナーまで建設資材は「一本の糸」でつながっている
中東情勢がマンション修繕に波及するメカニズムを正しく知る
中東情勢の影響はマンション建設および修繕工事の現場に大きな影響を与えています。危機をあおるニュースはちまたに溢れていますが、ここは建設サプライチェーンの構造を正しく理解した上で、マンション管理組合として「何をすべきか」を冷静に考える必要があります。
まず押さえたいのは「原油→ナフサ(粗製ガソリン)→建築資材」という一本のつながりです。マンションの外壁塗装に使う塗料も、それを希釈するシンナーも、目地を埋めるシーリング材も、屋上を守るウレタン防水材も、全て原油を起点とする石油化学の産物です。中東情勢が緊迫化すれば、この「川上(原油・ナフサ)→川中(基礎化学品)→川下(建築資材・現場)」のサプライチェーン全体にコスト上昇と供給の不安定さが波及します。実際、4月以降は各メーカーの出荷統制が広範化しています。塗料大手の関西ペイントはシンナー製品で75%以上の値上げと出荷統制を継続している他、水回り設備でも供給調整・受注一時停止が相次いでいます。
ここで一歩引いてマクロを確認しましょう。燃料用の原油については国家備蓄が約230日分、民間在庫が約70日分の合計約10カ月分が確保されており、いまだ戦後最大規模の備蓄が機能しています。ところが見落としてはいけないのが、石油備蓄法はオイルショック以来「燃料」確保を主眼に設計されており、建築資材の親であるナフサは法定備蓄の対象外であるということです。国家備蓄は0日分、民間在庫だけが頼りで、その量はわずか約20日分。原油はたっぷりあるのに、建材の原料は3週間で底をつくという非対称な構造が、今回の資材ショックの本質です。
この状況下で、修繕工事を予定しているマンション管理組合はどうすべきなのか。国際的なサプライチェーン構造の問題が起因する今回のナフサショックの中でも、管理組合にはできることとやるべきことがあります。建設現場で起きている資材不足騒動の正体をひもときながら、管理組合がすぐにできる対策について次ページから詳しく解説していきましょう。







