ただし、投資すれば明るい未来があるなどとは、思い込まない方が賢明です。興味があるのなら、まず100万円ほどで特定の会社の株を1つ買ってみることをおすすめします。
ショックを受ける人は
投資に向かない
100万円で買った株が150万円になればもちろん儲かりますが、逆に50万円になってしまうこともよくあります。
その時にショックで寝込んでしまう人は、一生投資には手を出さない方がいいでしょう。リスクに耐えられる性格ではないからです。
投資に向いている人は、100万円の株が50万円になった時に、「これはチャンスだ」と思える人です。安くなったからさらにもう100万円分を買い足そう、と考え、平均の購入価格を下げて回復を待つという判断ができる人なら、儲かる可能性があります。
ただし、それもあくまで、生活に影響のない「余剰資金」がある場合の話です。なけなしのお金で投資をして、失敗してしまえば、それこそ取り返しがつかなくなります。
例えば、2000年に野村証券が「頭脳の粋を集めて作った」という触れ込みで販売した投資信託がありました。多くの人がその謳い文句を信じて退職金の多くを投じた結果、1兆円を超えるお金が集まりました。
ところが、その直後にITバブルが崩壊し、最初の募集で1000万円を投資した人は、あっという間に400万円にまで下がってしまったのです。
その価格が元の水準に戻るまでには、20年近くかかりました。その間も手数料は引かれ続けます。50代、60代で投資を始めてそんな目にあって、資産が戻るまで20年も待たされることになったら、目も当てられません。
50代にとってよくある問題は、住宅ローンの残債と子どもの教育費の負担が重なることではないでしょうか。教育費とローンの支払いを抱えながら、さらに投資に回すだけのお金を作る余裕はないということも多いと思います。
金利2~3%なら投資より先に
住宅ローン返済を考える
もし、親の遺産など、手元にいくらかまとまった資金があるとしたら、投資を考える前にまず、住宅ローンを早く返すことを優先した方がいいと思います。
その方が、将来的に安心できる生活を迎えられるからです。
住宅ローンで借りたお金は利息をつけて返さなくてはなりません。ですが、もしも金利が2%、3%であるなら、繰り上げ返済をすることで、本来払うはずだった多額の利息を払わずにすみます。
『定年後のお金の悩み、解決します』(荻原博子、河出書房新社)
不確実な投資で利益を得ようとするより、確実に支出を減らすことのできる繰り上げ返済を優先するべきです。
ローンを抱え続けることは、生活において非常に大きなリスクであり、重荷となります。ですから、不確実な投資に資金を回すよりも、まずはローンを一日でも早く返して身軽になることを優先すべきなのです。
世の中には、投資でこれだけ資産が増えた、という話を聞くことが多いと思うので、それなら自分も、と思ってしまうかもしれません。けれども、人は成功した時しか他人に自慢しないものです。失敗してしまった時は、誰にも言わずに口をつぐんでいるものです。
成功した話ばかりが耳に入ってくるのは、そのような理由からです。耳当たりのいい話に惑わされることなく、まずは自分の足元を固めて、堅実に生活を守ることが大切です。







