そしてギブを続けていると、まわりには同じようにギブする人だけが残っていく。ギバーはギバーを呼び、テイカーは見抜かれて静かに退場していく。その輪のなかに入ってしまえば強い。情報が向こうから入ってくる。仕事が舞い込む。会いたかった人につながる。自分ひとりでは取れなかったチャンスが次々に回ってくる。
おいしい話は公開前に人づてで動くと最初に述べたが、その「人づて」の正体こそ、ギバーたちの輪なのである。与えるばかりで回収できるのか、と思うかもしれない。心配はいらない。人間には「返報性」という本能が組み込まれている。心理学で有名な法則なので聞いたことがある人もいるだろう。
人は何かをしてもらうと、お返しをしたくなる。というより、返さないままでいると気持ち悪くて仕方なくなるのだ。スーパーの試食で買う気のなかった商品をカゴに入れてしまうのも、無料サンプルをもらうと勧誘を断りにくくなるのも、この心理のせいである。社会心理学者のロバート・チャルディーニは、名著『影響力の武器』で人を動かす代表的な原理としてこの返報性を挙げた。
『やってはいけない 絶対損する金の使い方』(堀江貴文、徳間書店)
ギブは、相手の心理に「返さなければ」という動機を自動で植えつける。つまりギブという投資は、回収の仕組みが相手の側に最初から備わっているのだ。こんな投資はほかに存在しない。それでも、ギブして何も返ってこないことはある。それはそれでいい。儲けものだ。もらうだけもらって返さない人、いわゆるテイカーであることが早い段階でわかったのだから。
飯代の数千円で相手の人間性を見抜ける。こんなに安いテストはないだろう。以後、その相手にギブしなければいいだけの話である。関係が深まり、大きなお金や仕事が絡んでから裏切られるリスクを考えれば、破格の保険料だ。
それでもギブを躊躇するなら、逆に考えてみればいい。自分から何も差し出さずに、仕事も情報もチャンスも向こうからやってくると思うほうが虫がいい。欲しければ、まず自分から出す。それだけの話である。ギブ&テイクなんてみみっちいことを言うな。ギブ&ギブ&ギブ。先に配った人のところに、人も仕事もお金も集まってくるのだ。







