その結果、一般社員、中間管理職、上級管理職などの各階層はそれ以上の能力のない、無能な人間で埋め尽くされる。そのため、その組織の仕事はまだ出世の余地がある人間によって遂行されていく、というものである。

 この問題の発生を避けるには、業務能力の高い人をむやみに昇進させるよりも、むしろ昇給で報い、昇進に関しては、その役職に必要な能力を備えた人材や、そのための訓練を施した人材を配置すべきだとされている。

 同様の発想は、組織開発コンサルタントのチャランほか(※注6)による、「リーダーシップ・パイプライン」にも見られる。

 彼らは、リーダーシップ能力は連続的に伸びるのではなく、図表2-3で描くように、少なくとも6つの転換点で非連続的に変化すべきものと主張する。

図表2-3 リーダーシップ・パイプライン同書より転載 拡大画像表示

 前の役職で有効だったスキルや経験は、次の段階ではむしろ足枷になることすらある。そのため、昇進するたびに自らの価値観やこれまでのマネジメント方法を見直し、大きく作り変える必要がある。

※注6 Charan, R., Drotter, S., & Noel, J.(2001). The leadership pipeline : How to build the leadership powered company. Jossey-Bass.(グロービス・マネジメント・インスティテュート訳『リーダーを育てる会社 つぶす会社』英治出版、2004)「リーダーシップ・パイプライン」は、もともと石油のパイプラインから着想を得たとされ、パイプの中を途切れることなく流れる石油のように、人材も途切れないように計画的に育成していくべきとする考え方である。