しかし、多くの企業では、非連続性や断絶を前提としたリーダーの育成が十分に行われていない。結果として、部下からみると上司が期待外れに映る状況が生まれやすいのである。

 こうした構造的な背景も手伝い、革新的なアイディアほど上司は評価しにくい。クリエイティビティの研究に携わるバーグ(※注7)は、革新的な提案は上司にとって「見慣れない」うえ、結果の不確実性が高く見積もられて、過小評価されやすいと指摘する。

 図表2-4が示すように、実験では、職場の結果責任を負う管理職(=マネジャー)は、創造的な活動に慣れたクリエイターに比べ、保守的な判断を下し、成功可能性を低く見積もる傾向があることが確認された。しかも管理職による評価の精度は、クリエイターどころか、突然連れてこられた素人よりも不正確であることが示された。

 つまり、上司自身は中立的に判断しているつもりでも、役職特有の認知構造や職場の結果責任の重さなどが影響し、部下の優れた提案を正当に評価できないことがしばしば起こる。

図表2-4 革新的なアイディアの評価に対する不正確さ同書より転載 拡大画像表示
※注7 Berg, J. M.(2016). “Balancing on the creative highwire : Forecasting the success of novel ideas in organizations,” Administrative Science Quarterly, 61(3), 433―468.