金融インサイド#47Photo by Yasuo Katatae

鉄道、電力、スーパーなど異業種による「銀行参入」が地方にも広がっている。9月25日に九州旅客鉄道(JR九州)、30日には北海道電力とイズミが相次いで参入を発表した。その裏側では、金融機能を提供する銀行側の勢力図にも変化が起きている。BaaS(Banking as a Service)市場をけん引してきたドコモSMTBネット銀行に加え、SBI新生銀行やりそなグループ、三菱UFJ銀行、東京きらぼしフィナンシャルグループなども異業種との提携を相次いで発表。顧客企業の獲得競争が激化している。異業種が銀行を欲しがり、銀行が異業種の顧客基盤を求める理由は何か。長期連載『金融インサイド』の本稿では、企業と銀行のトップらへの取材を基に、金融参入の狙いとBaaS市場で大きく変化する競争の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

地方にも広がる異業種の銀行参入
銀行の顔触れと競争の軸に変化

 異業種による「銀行参入」が地方にも広がっている。

 9月25日、九州旅客鉄道(JR九州)はSBIグループ4社と、新たな金融サービスの提供に向けて基本合意したと発表した。SBI新生銀行の銀行機能に証券や資産運用などを組み合わせた金融スーパーアプリ「JQ BANK(仮称)」の開発を検討し、2027年度中のサービス開始を目指す。

 9月30日には、北海道電力とスーパー大手のイズミが、それぞれ銀行サービスの提供開始を発表。イズミは10月5日、北海道電力は同14日にサービスを開始した。

 鉄道業界では、東日本旅客鉄道(JR東日本)が2024年5月に楽天銀行と組み、銀行サービス「JRE BANK」を開始。その後、今年5月に西日本旅客鉄道(JR西日本)も参入を表明した。

 JR西日本がりそなグループと提携した際、JR九州の古宮洋二社長は銀行参入の可能性について「銀行と提携してお客さまの情報を持つことには価値があると思う。福岡だけを取るなら福岡銀行と提携する考え方もあるかもしれないが、九州という人口規模の中で銀行業に参入するメリットがあるのかどうか、まさに勉強しているところだ」と明かしていた(詳細は『りそなHDとJR西日本の資本業務提携は「金融×鉄道」時代の号砲か?JR各社の社長・幹部が明かした“金融参入”の現実味』参照)。

 そのJR九州が、ついに銀行参入へと動いた。イズミは広島、北海道電力は北海道を中心に顧客基盤を持つ。地方に根差す企業にとっても、銀行事業の展開が現実的な選択肢に浮上している。

 一方、異業種の金融進出を支える銀行側にも変化が起きている。BaaS(Banking as a Service)市場で先行するドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)に加え、SBIグループ、りそなグループ傘下の関西みらい銀行、三菱UFJ銀行、東京きらぼしフィナンシャルグループ傘下のUI銀行など、担い手が広がっているのだ。

 異業種が銀行を欲しがり、銀行も異業種との提携を求める理由とは何か。

 次ページでは、企業と銀行のトップらへの取材を基に、相次ぐ金融参入の狙いとBaaS市場で変化する競争の実態を明らかにする。