Photo by Yoshihisa Wada
関東の地銀再編を語る上で、有力候補と目されるのが東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)だ。5月に東京都が保有する優先株式を当初計画から前倒しで一括償還。肥沃な“東京”を主戦場とする唯一無二の地銀を巡り、注目度は一層増している。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』#29では、渡邊壽信社長に他行との経営統合について直撃。「検討の選択肢から排除するものではない」と語るその理由や提携先の条件を詳報する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 高野 豪)
3年前倒しで優先株式を一括償還
資本積み増しが次期中計の課題に
――長年の課題であった優先株式の処理についてめどが付きました。
第1次中期経営計画(2018~20年度)はコストの改善、第2次中計(21~23年度)は収益力の改善にめどが付き、現在の第3次中計(24~26年度)では低資本の課題に取り組んできました。
本来であれば、現中計の最終年度である26年度から三井住友信託銀行(75万株=150億円)と東京都(200万株=400億円)が保有する優先株式の償還をスタートさせる予定でした。
ただ、三井住友信託銀行からの普通株式への転換要請と、それに伴う東京都との交渉により、(優先株式の最終償還予定である29年度から)3年前倒しで全優先株式を一括償還したため、結果的に積み上げてきた自己資本は当初計画していた水準を少し下回ってしまいました。
もう一度資本の積み上げをするため、27年度から始まる新中計の策定に取りかかっているところです。
――決算会見では償還を決めたタイミングについて「ギリギリだった」と話していましたが、その決断に至った要因は。
まず本当に償還できるのかどうかは、25年度の決算を見なければ分かりませんでした。マーケット環境を加味し、われわれの最終的な業績の方向性を見定めて、26年度の第1四半期に償還しようと決断しました。有価証券の売却益なども見込めましたから。
――東京都が保有する優先株式の一括償還に伴い、自己資本の水準が当初計画を下回ったと先ほど述べていました。今中計最終年度の自己資本比率の計画値は8.3%ですが、次期中計ではどの水準まで積んでいきますか。
29年度に最終償還予定だったものを前倒しで一括償還してしまったので、今まさに目指す自己資本比率を試算している最中です。自己資本比率によってわれわれが取り得る戦略も変わります。27年春ごろに示す次期中計では、成長戦略という形でしっかりお示ししたい。
優先株式の前倒しでの償還により、都の公的資金がゼロとなった東京きらぼしFG。自己資本の低下という資本政策上の課題が浮き彫りとなる中、渡邊社長は他の地銀との経営統合についてどのように考えているのか。次ページでは、その本音と譲れない条件を詳らかにする。







