地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦#30Photo by Go Takano

2016年の経営統合から間もなく10年を迎えるめぶきフィナンシャルグループ。低金利下での船出から、徹底した構造改革を進め、金利正常化の追い風を受ける格好で、2期連続の過去最高益を更新した。周囲の地方銀行が経営統合に動き出す中、距離を置いてきた再編の先駆者もその姿勢に変化が見え始めている。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』#30で、秋野哲也社長兼常陽銀行頭取が、次なる再編への具体的な戦略を明かした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 高野 豪)

統合効果は「絶大」と断言
構造改革と金利正常化で過去最高益に

――2016年10月に常陽銀行と足利ホールディングスが経営統合し、めぶきフィナンシャルグループ(FG)が発足しました。経営統合から10年を迎えるに当たり、どのように評価していますか。

 さまざまな苦労やチャレンジもありましたが、振り返れば想定以上に順調にいき、統合効果も絶大だったと評価しています。この10年を振り返ると、マイナス金利政策や新型コロナウイルス禍など経営環境としては向かい風の時代でした。

 環境面で苦難が続く中、構造改革を進めてきた成果が、24年3月からの金利正常化とともに表れ、25年度は過去最高益を更新しました。めぶきFGだけでなく、100年以上の歴史がある常陽銀行と足利銀行がそれぞれ過去最高益を実現できたのは、経営統合があったからこそですね。

――構造改革にどのように取り組んできたのでしょうか。

 統合して最初の3年間はシステム統合に時間を費やしました。これは相当な労力がかかりました。基幹システムを合わせることを決め、融資審査システム、顧客管理システムなどの主要な分散システムも合わせました。

 経営統合の効果を出すためには、システムが一本化されてないと、本当の効果は表れてこないと考えたからです。

 店舗は、両行合わせて300カ店余りありました。フルバンキング機能を維持するにはコスト負担が重過ぎるため、両行それぞれの不採算店舗を店舗内店舗の形で統合しました。

 人員もFG発足当初は1万1000人程度でしたが、自然減による人員数のマネジメントに取り組み、現在は9000人を割る程度となっています。

 コロナ禍以降、デジタル化も本格化しました。デジタル分野で戦略的業務提携を結ぶりそなホールディングスが供給するバンキングアプリは、両行共に同じプラットフォームで150万人に利用されています。150万人という規模は、茨城県と栃木県を合わせた人口のうち約3分の1が利用している計算です。

 これも単独でやるよりグループとして取り組んだ方が、コストを確実に減らせます。3人に1人という圧倒的なシェア率もそうです。こうしたものも統合効果だと考えています。

統合から10年でようやく成果が表れ始めためぶきFG。秋野社長はその統合効果について「1+1=10」になったと胸を張る。周囲の地方銀行が再編に動き出す中、めぶきFGはどのようなビジョンを描いているのか。次ページでは、再編への姿勢を深掘りするとともに、次なるお見合い相手に不可欠な二つの条件を明らかにする。