Photo by Yasuo Katatae
「第4のメガバンク構想」を掲げるSBIホールディングスが、一部の提携地銀に対して出資比率の引き上げや役員派遣、勘定系システムの導入といった強引な要求を突き付けている実態が浮かび上がった。これを拒み、提携解消に至ったのが筑邦銀行である。“筑邦ショック”は、他の地銀にとっても決してひとごとではない。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』#24では、筑邦銀行が直面したSBIの「地銀囲い込み」3ステップを検証し、“筑邦ショック前夜”に揺れる地銀を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 高野 豪、永吉泰貴)
少額出資組を待ち受けるSBIの3段階要求
“筑邦ショック”の次の火種は?
SBIホールディングスが掲げる「第4のメガバンク構想」が、大きな曲がり角に差しかかっている。
同構想は2019年、島根銀行と福島銀行への出資を機に本格化した。両行への出資比率はいずれも当初から15%以上で、SBIが主導的に経営改革を進める色が強かった。
だが、20年1月に資本業務提携を結んだ筑邦銀行をはじめ、その後に続いた地方銀行は様相が異なる。じもとホールディングスを除けば、多くは1~3%程度の少額出資からのスタートだったのだ。
その少額出資組が今、岐路に立たされている。SBIは提携地銀ごとに要求内容を変えつつも、主に出資比率の引き上げや役員派遣、SBIが提供する次世代バンキングシステムの導入を求めているからだ。
SBI新生銀行は25年12月17日、「第4のメガバンク構想」を成長戦略に掲げて再上場した。SBI地銀ホールディングスは、島根銀行と福島銀行の株式を6月30日付でSBI新生銀行へ譲渡し、両行を同行の持ち分法適用関連会社とする方針を公表。SBIは今後も同様に、出資比率を高めた地銀株をSBI新生銀行へ付け替え、地銀を同行の持ち分法適用会社として取り込む流れを想定していたのだろう。
だが、こうした要求を突っぱねた地銀がある。福岡県久留米市を地盤とする筑邦銀行だ。
SBIは25年12月24日、筑邦銀行との資本業務提携契約を終了すると発表した。筑邦銀行は、「第4のメガバンク構想」から初めて明確に離脱した地銀となった。
SBIの要求を拒絶した理由について、筑邦銀行の鶴久博幸頭取はダイヤモンド編集部の取材に「一方的に、しかも突然、出資比率を15%以上にするのは当然受け入れられなかった。もちろん役員も必要ない。SBIの顔色をうかがってダラダラしたくなかった」と明かした。
“筑邦ショック”は、これで終わりではない。少額出資から始まった他の地銀も、いずれはSBIとの「同化か、離脱か」という究極の選択を迫られかねないからだ。
次ページでは、SBIが地銀の地元顧客を握り、経営支配を強める「3ステップ」を明らかにする。筑邦銀行の事例をひもとくと、地銀側が簡単には離脱を選べない苦悩も浮かび上がる。SBIとの同化か、離脱に伴う痛みか。究極の選択を迫られる“筑邦ショック前夜”の地銀を検証する。







