モバイルSuicaアプリの
「起動の遅さ」も懸念材料
このほか、懸念されるのはteppayのUI/UXの問題だ。
リリース後に改善される可能性はあるが、現時点で筆者が把握している限り、teppayの呼び出しはモバイルSuicaアプリの起動をいったん挟むため、支払いに必要なバーコードを出すのに2段階のステップを踏む必要がある。
特にAndroidで顕著だが、モバイルSuicaアプリはネットワークの状態によっては起動が非常に遅いことがある。既存のコード決済アプリが起動の早さを何よりも重視し、決済用バーコードを優先的に表示しているのに比べれば、この遅さは大きなデメリットになりかねない。
1年前の発表時点では
「モックアップしか完成していなかった」ワケ
では、こうした仕組みのteppayは、なぜ今のタイミングで開発されたのだろうか。ここからは、その背景を探っていきたい。
関係者らの情報によると、teppayのベースとなるプロジェクトがJR東日本内で議論され始めたのは3〜4年ほど前のこと。
もともとはコロナ禍で鉄道利用が停滞する中、同社内で「あまり有効活用が進んでいないJRE POINT(※)を使って経済循環を作れないか」という意見があり、これを発展させる形で「コード決済でポイント経済圏を作り出す」という計画になったようだ。
※注:JR東日本が提供する既存のポイントサービス。新設するteppayポイントとは異なる。
折しも、2021〜22年ごろにかけて、市場全体におけるコード決済の取扱高が電子マネーを上回る状況が見えつつあった。Suicaを金融・周辺サービスの中核と位置付けるJR東日本としても看過はできず、コード決済を手掛けたいという思いがあったと思われる。
ただ、プロジェクトそのものは立ち上げに苦慮したようで、teppayをリリースする計画が発表された2025年11月、報道陣にお披露目されたのは、実際のサービスの画面遷移を模した “モックアップ”だった。
モックアップとして展示されていた、teppayの送金画面 Photo by J.S.拡大画像表示
筆者の情報源から確認する限り、この時点ではアプリの基本的な仕様は一通り決まっていたものの、バックエンドのシステムはまだほとんどできていない状態で、それから1年をかけて構築してきたようだ。







