柳井氏が役員を叱り、役員が部長を叱り、部長が現場のリーダーを叱る。担当者は、その全員から叱られていた。派遣スタッフにも直接声を上げていた。現場で働く人にまで及ぶ叱責だったという。
こうした状況を変えようと、有賀氏は人事にも手を打った。前任の生産担当役員は柳井氏と一緒に部下を叱っていたというが、有賀氏は逆にスタッフと並んで座り、自らも叱られる側に回った。さらに、柳井氏と一緒に部下を叱っていたような部長を役職から外し、それまで叱られる側だったリーダー格の社員を部長に抜てきした。
部下への配慮と
組織の業績向上は両立するか
厳しい品質要求を実現するには、現場の問題を解決する力に加えて、社員が力を発揮できる職場づくりも必要になる。
上司の働きを分けて考えた研究がある。ティモシー・ジャッジらが2004年に『Journal of Applied Psychology』へ発表した論文『The Forgotten Ones? The Validity of Consideration and Initiating Structure in Leadership Research』(リーダーシップ研究で見落とされてきたものとは? 部下への配慮と仕事の進め方を明確にする行動の妥当性)は、メタ分析という手法で過去の研究をまとめ、部下への配慮と、役割や仕事の進め方を明確にする行動を調べた。
その結果、部下への配慮は部下の満足度や意欲と強く関連していた。一方、部下の役割や仕事の進め方を明確にする行動は、上司の職務成績や組織の業績との関連がやや強かった。ただし、部下への配慮も組織の業績と関連しており、厳しい目標を追求することと、部下を尊重することは二者択一ではない。
では、部下が叱責され続けていたユニクロの現場では、問題の原因を正しく捉えられていたのか。
なぜ優秀な社員が
問題を解決できなかったのか
『日本の人事部』での有賀氏の連載第30回には、品質問題にどう対処したか、詳しく書かれている。







