メディア興亡#29Photo by Shuhei Inomata

地方紙で中日新聞社(愛知県)に次ぐ発行部数68万部を誇る北海道新聞社の中期経営計画をダイヤモンド編集部が独自に入手した。本業の新聞事業が構造的縮小を続ける中、財務KPI(重要業績評価指標)に新聞社としては異例のROIC(投下資本利益率)を盛り込むなど、野心的な数値目標が示されている。連載『メディア興亡』の本稿では、道新が目指す地方新聞社の未来像と、それでも社員が「腹落ち」しない根本的な理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

朝刊部数は四半世紀でほぼ半減
「支出削減」で黒字には至ったが…

 ダイヤモンド編集部が独自入手したのは、北海道新聞社の中期成長指針「DOSHIN Drive 2035」の概要版。サブタイトルは「新聞社の枠を超え、挑み続ける未来共創グループへ」。資料は全8ページで、今後10年間に「取り組むべき」とする成長施策がまとめてある。

 資料をひもとく前に、まず同社が現在抱える課題を整理しよう。道民から「道新」の愛称で親しまれる北海道新聞は今世紀初めの2001年には朝刊122万部、夕刊72万部を誇っていた。しかし23年9月末をもって夕刊は原材料費の高騰や輸送コスト削減を理由に休刊、朝刊部数も道新営業局のホームページによれば26年9月時点で68万464部にまで落ち込んでおり、四半世紀でほぼ半減したことになる。

 さらなる業績悪化を防ぐため、道新は16年11月に「10年損益改善委員会」を立ち上げ、部局の垣根を越えて損益改善計画を立案、人員削減策や人事制度の見直し、印刷工場の閉鎖を実行していった。これによって、当初は数億円の損失を計上する見込みだった25年度決算は13億円の黒字に至った。

 ただ、これらのほとんどは支出削減策であり、抜本的な収益改善策とはいえなかった(詳細は『メディア興亡』#20『【内部資料入手】北海道新聞社、400人規模の人員削減計画判明!巨額赤字は回避も「地域密着度の低下」が避けられないジレンマとは!?』参照)。

 だが、道新経営陣は厳しい経営環境の中でも成長増収を実現すべく、具体的な数値目標も盛り込んだ経営計画を社内向けに打ち出したのだ。

 次ページでは道新が描く成長シナリオの全貌と、その青写真に半信半疑にならざるを得ない社員のリアルな胸の内に迫る。