Photo:Shuhei Inomata
信じ難い不祥事が明らかになった。国内第2位の通信社である時事通信社の社員がプロ野球の春季キャンプを取材中、無断で拾った練習球をフリマサイトで売却していたという。時事通信は11月5日に本件を対外公表したが、悪質な内容に社内外で大きな衝撃が走っている。メディアの信用を揺るがす本事案はなぜ起きたのか。連載『メディア興亡』の本稿では、時事通信への取材や関係者の証言で明らかになった社員の動機や、不祥事続出の余波を緊急報告する。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
20代男性社員による前代未聞の不祥事
相次ぐ醜聞に時事通信への非難は不可避
11月5日午後3時、時事通信社は公式ホームページに「当社社員による不祥事案について」という題でプレスリリースを公表した。内容は以下の通り。
続いて、境克彦社長のコメントを掲載している。
時事通信の報道によると、当該社員は20代の編集局映像センター写真部所属の男性社員。大阪支社所属だった2026年2月、沖縄県で実施されていたプロ野球4球団(阪神タイガース、東京ヤクルトスワローズ、横浜DeNAベイスターズ、東北楽天ゴールデンイーグルス)の各キャンプで球団の許可なく拾い集めた練習球計54個をフリマサイトに出品し、計5万0940円で売却したという。練習球のほかにも、報道陣に支給された帽子も出品し、売却していた。男性社員は社内調査に対して事実関係を認めている。
記者の立場を利用した極めて悪質な事案である。時事通信の発表後、メディア業界内外で驚きとあきれの声が上がった。しかも、同社では25年10月にも、同じ映像センター写真部所属の男性カメラマンが自民党の高市早苗総裁を取材中に「支持率下げてやる」などと発言したとして、批判が殺到。時事通信が本人を厳重注意する事態になった。
繰り返す不祥事で時事通信は未曽有の「信用危機」に直面している。次ページではダイヤモンド編集部の取材で明らかになった本件発覚の経緯や被害の詳細、男性社員が社内調査で述べた動機を明らかにするほか、不祥事の対外公表直前に境社長の署名で幹部社員に行き渡った通知文の全容を公開する。また、今回の不祥事によって懸念される時事通信の課題を考察する。







