メディア興亡#20Photo by Shuhei Inomata

地方新聞社として中日新聞社(愛知県)に次ぐ発行部数を誇る北海道新聞社が、数年がかりで400人規模の人員削減を含む収益改善計画を進めていることが分かった。大胆な改革を進めた結果、2025年度は一時数十億円の赤字を見込んでいたものの、一連の改革が功を奏して2期連続の増益となった。一方、ダイヤモンド編集部が独自入手した資料によると、足元では「厳しい経営状況」を理由に支局網を縮小していることが分かった。連載『メディア興亡』の本稿では、地域密着の姿勢を人員削減によって手放さざるを得ない、有力地方紙が直面する苦悩に迫る。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

最盛期120万部から「50万部割れ」予測も
数十億円の赤字回避へ、全社で抜本改革

「道新」の愛称で道民から親しまれる北海道新聞社を取り巻く環境は他の新聞社と同様に年々厳しさを増している。

 朝刊発行部数は最盛期だった2000年代に120万部台を誇ったが、26年1月時点では70万4206部と4割ほど落ち込んだ。「24年6月の購読料値上げの影響もあって25年だけでも3万6000部ほど部数が減った。試算では、5年後にはさらに18万部減って『50万部割れ』も視野に入ってくるという見方さえある」(道新関係者)

 また、22年11月には「道新スポーツ」を休刊、さらに23年9月末には原材料費の高騰や輸送コスト削減を理由に夕刊も休刊した。01年には10カ所あった海外支局を25年までに半数の5カ所に減らすなど、暗いニュースが続いた。

 ただ、道新は社業の衰退を座して見届けていたわけではない。16年11月には当時の広瀬兼三社長が「収支、支出それぞれの全社的検討組織を立ち上げる」と宣言し、翌月には自身が委員長を務める「10年損益改善委員会」を立ち上げた。

 当時の経営状況の展望は芳しくなかった。「16年の3カ年計画をベースに25年度までの収支を検討した結果、このまま何も手立てを講じなければ収支は来期以降赤字基調で推移する。赤字幅は25年度に数十億円に膨らむ」。道新経営企画局は当初、こう予測していた。

 これに基づき、道新は24年度まで5度の「10年損益改善計画」を立案、実行してきた。25年度の黒字決算は、この計画を遂行した結果といえる。

 何も手立てを講じなければ数十億円の赤字に陥る――。そんな危機感から北海道新聞社が断行した、5度にわたる「損益改善計画」の驚くべき中身とは何か。一時は経営難が予測されながらも25年度に黒字を達成した決算の裏側と、独自入手した内部資料から浮かび上がる大幅な人員削減の全貌を次ページで明らかにする。