メディア興亡#30Photo by Shuhei Inomata

記者職を中心とする深刻な人員流出と新聞不況に直面する毎日新聞社が、2027年春以降、地方の小規模支局を原則「記者1人」態勢へと大幅に縮小する方針を固めたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。計画では全国約20の地方支局で記者が単独常駐となり、賃貸オフィスの移転や事務スタッフの体制見直しも進められる。編集局員が急減する中、会社側は独自報道やデジタル分野へ資源を傾斜配置する「選択と集中」と位置付けるが、現場を預かる支局長たちには取材網の維持や実務負担への困惑も広がる。連載『メディア興亡』の本稿では、岐路に立つ名門全国紙の経営判断と、地方取材網の行方を追った。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

 1年で約40人が編集局を去る
「全国紙の維持困難」毎日新聞の窮状

 毎日新聞社における記者の人手不足が、組織の維持に関わる深刻な局面を迎えている。

 ダイヤモンド編集部の取材によると、同社では2025年春までのわずか1年間で、編集局内だけでも退職や他部門への異動に伴い約40人もの人員が流出していた。東京本社に勤務する中堅記者は、職場の現状を次のように明かす。

「社内では若手や中堅社員を中心に転職活動を進める動きが常態化している。他社と同等の激務をこなしながらも処遇面での見劣りは否めず、将来的なキャリアに不安を感じて見切りをつける同僚が少なくない」

 背景にあるのは、新聞業界全体を覆う部数減の加速と、同社を取り巻く厳しい収益環境だ。用紙代や輸送費などのコスト高騰が続く一方、注力するデジタル事業の有料読者獲得は急激な収益改善をもたらすには至っていない。限られた経営資源の中で取材網をどう再編するかは、同社にとって焦眉の課題となっていた。

 人的リソースの逼迫は、まず地方の流通網と取材拠点に表れた。同社は24年10月以降、富山県全域や島根県西部、北海道北東部などで紙の新聞配送を相次いで休止した。

 同時に地方拠点の効率化を進め、富山支局や鹿児島支局を先行して常駐記者が1人の「1人支局」へと移行させた。発行部数が落ち込んだ地域において従来の支局体制を維持すれば、地域収支が赤字になるという経営判断によるものだった。

 列島各地で記者の配置が見直される現状に対し、毎日新聞労働組合も組合報で「全国紙体制の維持が難しい局面に入った」と危機感を表明している。

 そうした中、会社側が打ち出したのが地方取材網のさらなる抜本的再編だった。

 関係者の証言によると、毎日新聞社は10月下旬、全国の支局長を集めた社内協議の場において、地方支局の大規模な体制見直し方針を提示した。会社側が「選択と集中」の名の下に示したのは、全国約20の小規模支局を原則1人態勢へと縮小させるという、経営資源の再配分計画だった。

 次ページでは、独自取材で判明した地方支局再編計画の全貌を詳報する。