40代の退職金は減る?
新旧制度の格差を試算
ただし、今回の見直しが直ちに既存社員の退職給付を大幅に減らすとは限りません。
以前からの退職金制度は大企業の場合、就業規則や退職金規程などによって定められてきた制度です。少なくとも過去にさかのぼって変更するとなると、従業員に大幅に不利益になる労働条件の変更にあたり、法律上問題が起きます。
おそらくは労使交渉で決着する新制度は、この先の将来の積み上げ分が役職や能力の査定が低い人は減らされるという形になると考えられます。実際に積み上がった退職給付の扱い方や経過措置の有無などは、報道だけでは断定できませんが、一定の条件を仮定して影響を考えてみます。
退職金制度というのは会社によってさまざまなので単純なシミュレーションは難しいのですが、あえて単純化してどれくらいの差が出るのかを考えてみます。
仮に日本の伝統的大企業(三井住友信託銀行の制度を再現したものではない)で、これまでの制度であれば新卒で入社して65歳まで勤めあげた場合に平均で3000万円の退職金が出る会社があったとします。
40代の社員の場合、サラリーマン人生の中でこれまで積み上げてきた退職金が約半分、これからの20年間で新制度の上で積み上がる退職金が残り半分だとします。
これまでの制度であれば退職段階で標準的な昇進をしてきた人が3000万円、部長として活躍してきた人は3200万円、それに対して40代で役職は頭打ちになっていた人でも2800万円ぐらいの退職金が支給されるという設定にします。
ところが新制度では、キャリア後半の積み上げ分から勤続年数要素が外されてしまいます。会社平均で1500万円に相当する後半分の査定は、能力と役職に応じる形に変更されたとします。
あくまでモデルですが、部長クラスの活躍層は2200万円に加算される一方で、無役の中高年社員の場合は800万円ぐらいに減額される形で人生後半の退職金支給額にめりはりがつくことになるでしょう。
つまり退職時点では活躍層は退職金3700万円、一方で昇進が限定的だった社員の退職金は2300万円というぐらいの差は新制度でつきそうです。
これまでの制度だったらサラリーマン人生をなんとかしのいで無事、退職年齢まで到達した人は最低でも2800万円もらえるはずだった退職金が、2300万円に変更になるとしたら、会社への忠誠心はかなり下がってしまうかもしれませんね。







